第17話

次の日、私達はヒデヤス達が稽古場に居るので会いに行く事になった。


エレカを除いて。

 

昨日の夜、少し出かけてくるといってエレカは夜、街を1人で歩いたまま居なくなった。


朝も一緒に行くか聞いたけどエレカはあんまり興味がないみたいだった。


「大丈夫ですかね?」


「まあ俺も少し強引だったかもな。」


.


.


.


__昨日の夜の話。


ウチは直感であのヒデヤスとかいう男を信用できなかった。

それがみんなの迷惑な事だとわかって居たけど。


「さっきからウチの後ろを歩いてるのは誰??」


ずっと殺気というか視線みたいなものを感じて居た。


「私の事分かるのね。」


「見えないけど…感じる!!そこ!」


そう言って短刀を圧の感じる先に投げた。


「あなた相当最高ね。」


グラマラスなお姉さんが出てきた。


「だ、誰ですか?」


「私は極東の忍、まああなた達の言い方で言えばアサシン。あなた昼の泥棒事件見てたけど、凄いわね!良かったら忍にならない??」


「あの、なる気は…」


「明日の朝待ってるわ!合言葉は…」


「山。」


「リ、リバー!!」


そう言って屋敷の門が開いた。


「ようこそ、漆黒乃風へ。」


.


.


.


「こんにちは〜」


私達は稽古場についた。


「おお〜お二人とも!」


そう言ってヒデヤスさんが出迎えてくれた。


「隙あり!」


「うわぁ!」


「結構本格的な稽古なんですね。」


「まあ俺達は鬼と戦うために常に力を付けているからな。」


この街では魔族の事を鬼と呼んでいるらしい。


「おい!ムサシ!昨日、長が言っていた冒険者が来てくれたぞ!」


そう言ってさっき倒された男の人が駆け寄ってきた。


「どうも、ムサシって言います。」


私が言うのも良くないけど、素人目から見てもあまり強いと言う印象を持たなかった。


「初めまして!冒険者のラモンズです。」


そう言って握手をしていた。


昨日会った時にヒデヤスさんと、そして今ムサシさんと握手をしたので2人の実力みたいなものはラモンズさんがスキルで見ているのだろう。


「あの、今日は稽古見させてほしいんですけど、明日から俺も参加させてください。」


そうラモンズさんはお願いした。


その後も稽古を見ていたがムサシさんは新人にも負け、なぜ長はこんな人を推奨したのか不安に思った。

 

「ありがとうございました!!」


反対にヒデヤスさんはここの稽古場でもリーダーであり、誰も勝てないほど力の差があった。


「見学させていただきありがとうございました。」


稽古は終わった。


「あの、ラモンズさん!ムサシさんの方はどうでしたか?」


「う〜ん…確かにスキルで見た感じだと別にそこまでの差は無いけど実戦的に見たらどうしてもムサシさんは強いとは思えなくてね…」


「そうだったんですね。」


「でも、もう少し実力を見てみたいから明日から数日稽古に参加しようと思う!悪いんだけどアイリスは街でゆっくりしてなよ!」


「で、でも!」


「まあエレカもアイリスもライズの時は結局ゆっくりできなかったからさ!」


「分かりました。」


本当にここで剣士は見つかるんでしょうか?


.


.


.


「どうしてもならぬと言うのか!!」


「せっかくのヒカリ様からのお誘いなのに!!」


「まあまあエレカさんがなりたく無いって言ってるんだし、ねぇ?ヤミ?」


「…。」


ウチはノコノコと極東の忍集団”漆黒乃風”の屋敷に来てしまった。


リーダーはこの無口なヤミという男で昨日の夜話しかけてきたのはヒカリさん、くノ一という女忍者のリーダーらしい。


「あなたはセンスあると思うけどなぁ…まあ良いわ特別に忍術教えてあげる!」


「いや、良いです。」


「え!!なんで!なんで!やだ!やだ!」


ヒカリさんは見た目は大人っぽいが行動は子供っぽい。


「ヒカリさん、それに忍術は他人に沢山見せるものでも無いですよ!」


「え〜だって!!だって!!禁術の書が入ってる秘密箱開けられそうじゃん!!」


「禁術の書って…」


「はい!エレカちゃん引っかかった〜!気になるならぜひ忍者に…」


「おい、もう良い加減にしろよヒカリ。」


無口なヤミさんが言葉を発した。


「悪いな、こいつは一回言ったら聞かなくて…」


「でも、少し気になります。」


「まあ秘密箱も本当に中入ってるかも分からないからな、ヒカリが迷惑かけたからそれあげる。」


「ええ!!!ヤミ〜本気で言ってるの??」


「いいだろ、代々続いてきた漆黒乃闇も今の代でガラッと変わったんだからもう過去のものは無くても…」


「はぁ…まあいいか!エレカちゃんは悪そうな子じゃ無いしね!あと普通に忍にならなくても修行においでよ!何日ぐらいこの街にいるの?」


「どうなんでしょう…」


ウチはこれからどうなるんだろうか。


.


.


.


__次の日


「そういう訳で今日から数日間は自由行動にしよう。」


ラモンズさんからの提案だった。


「分かりました。その…信じますからね。」


悲しげにエレカが言った。


「エレカはどこか行くの?」


「ウチはちょっとね。」


「そ、そっか」


「まあアイリスも好きに行動するといいよ。」


そんな事言われたらずっとこの宿にこもってるのに決まってるじゃ無いですか〜



ー続くー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る