第13話

雑念とか全部捨てて魔力に、気に、全集中させる。


「やるなぁ…でも。」


「うわああ」


あと少しの所でアレクさんを魔法陣の外に出せそうだったけど負けた。


「流石はモルガン様の一番弟子…」


「ありがとうございます、あのもう一度!」


「今回はここまでだな、魔力の消費は身体全体の負担につながるからな。帰ってちゃんとストレッチしてね?またいつでも稽古してやるから…それに明日はお祭りだからな。」


「は、はい!」


アレクさんは不器用で無口そうだけど魔力の使い方といい相当努力してきたんだろうなというのが伝わってきた。


私ももっと強くなりたい。


.


.


.


「どこかニャ?」


ウチは息を殺し隠れていた。ただ、今までとは違い…


「ニャ!」


「おねぇちゃん!?」


罠に引っかかったのだ。

妹のモカはメインは弓。

やる事は…


「近距離一択!!」


「なるほど、弓で戦いにくい距離まで来たんですね!」


「私は短刀だからな…」


しかし、流石は獣人。攻撃が当たらない


「甘いですよ!」


「あんたもな!」


「キャァア!」


モカも罠に引っかかった。


「私の勝ちね!」


「それはどうかニャ!」


ベチャ!


「罠に掛かったら終わりって思ったのが甘いのニャ!」


モカに気を取られているうちにインクの付いた弓で撃たれてしまった。


「まあ稽古はこんなもんかニャ!私達は明日のお祭りの準備があるからニャ!」


「そうですね…でも初めて私達とやってここまで出来るエレカさんは中々でしたよ。」


「モナに最初にインクを付けてれば…」


「まあ”もしも”がないのが戦いですからね。」


「あの!2人とも、ありがとうございました。」


「楽しかったニャ!」


.


.


.


「オラオラオラオラ!どうした!そんなもんか!ラモンズさんよっ!!」


一発の攻撃が少し遅い分当たれば負けるだろう…そんな状況の中俺はルークと模擬戦をしていた。


それに、俺のスピードで攻撃しても中々当たらない。


「スキル使ってもいいぜ!!」


「余裕みたいだな…」


「その分!!俺も全力でいかせてもらうぜ!!」


ルークは完全にスキルを使わずにいる分、力を全て戦いに使う事が出来る。


「やるしかねぇ…ソニック!!」


ドン!!!


「それでも音速かぁ???」


今にも剣が折れそうなぐらいだった。


「ラモンズ君、言っとくけど本気じゃないと勝てないよ。」


「やっぱり、セーブしてるんだなぁ??」


本当にアレクには全部お見通しみたいだな。


「この事…みんなにはナイショにしといてよ!」


「スキル!!」


「そ、そのスキルは!?!?」


一撃で戦いが終わった。


「ラモンズ君はまだ隠しているんだね。」


「隠してるっていうより…使いたくないんだ。」


「良い勝負だったぜ!!!ラモンズ!!!でもなんでお前が…」


こうして各々の稽古が終わった。


.


.


.


「今日の稽古を祝して乾杯!!!」


昨日とは違い和やかなムードで夕食を食べる事になった。


「2人はどうだった?」


なんだか悔しそうにしているアイリスとエリカ。多分勝てなかったんだろう。


「ラモンズさん!エリカはすごい才能があるニャ!」


モネが褒めてくれた。


「そうだったのか、よかった。」


「でもニャんでこんな逸材を見つけてこれるのかニャ?」


「それは俺のスキルなんだ。握手したり手を握った相手の大体のステータスが見れてね。」


「凄いニャ!!私を見てほしいニャ!」


「別に良いけど」


そう言ってモネの手を握った。


「す、凄い…」


魔力値は低いとはいえ大体のステータスは人より遥かに上だ。ただ…


「どうしたニャ?」


「い、いやモネは弓よりも剣とかも良いんじゃないかな?」


「本当かニャ!昔から槍と弓しか使ってこなくて…」


「まあ短刀を使うか猫爪の力をもっと鍛えても良いかもね!」


「ありがとうニャー!」


流石はラモンズンさん、一瞬で的確なアドバイスを…


「そういえば、アイリスはどうだった?」


「はい!どうやらおじいちゃんの事知ってるみたいで!」


「お爺さんは有名な人なのかい?」


そう、バイスさんが聞いてきた。


「有名も何もあのライトニング・インフェルノの最高魔導士のモルガン様だぞ!!」


自分の事のようにアレクさんが話し始めた。やはり、魔導士の話になるとテンションが上がった。


「相変わらずアレクは魔導士オタクだな。でもまさかモルガンさんの娘さんだとはね。」


「娘ではないんです、昔村が崩壊した時に助けてくれてその後も面倒を見てくれました。」


「血が繋がってないのにその魔力の高さか…中々凄いんじゃないかな?」


そう言ってバイスさんが褒めてくれた。


「俺たちもこれからだな!」


珍しくラモンズさんのテンションが高かったやはり地元だからなのだろうか…


「俺たちなら絶対いけるよ。」


そう言って両手をギュッと握りしめてきた


「え?え?え?」


「なんだなんだ!!恋か!!」


周りが盛り上がる中…


「もしかして、ラモンズ君…お酒飲んだ?」


「もしかして…」


「あぁ…彼は昔から酒が誰よりも弱いんだよ…」


「なぁアイリス!エレカ!俺たちで第5層目指そうな!!」


私達2人に抱きついてきた。


「は、はい!が頑張りましょう!」


「たまにはこうだらしないラモンズを見てもいいですかね〜」


その後、各々が会話をする中、突然眠ってしまったラモンズさんが解散の合図になった。


「あの、ありがとうございました。」


「ラモンズに付いて行くのは大変かも知らないけど頑張ってね。」


「はい!」


「明日はお祭りだから、たくさん楽しむと良いよ!」


「楽しみにしてます…」


明日はライズの年に一度のお祭りだ。


楽しみだな。


ー続くー

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