第14話
朝になった。
「本当にすいませんでした。」
一夜明け、完全にお酒が抜けたラモンズさんが私達に謝ってきた。
「良いんですよ!!」
「間違ってルークのお酒を飲んじゃったんだよね…」
「ウチらに抱きついてきた時はびっくりしたなぁ〜ね?アイリス?」
「ちょっと!言わなくてもいいでしょ〜」
「お、おれ…2人に…」
慌てふためくなんとも珍しいラモンズさんを見る事ができた。
「本当にごめん、飲まないようにしてたんだけど…」
「まぁ気にしてないですよ、それにウチが頑張らなきゃいけない課題も沢山見つかったし。」
「そうですよ!今日はお祭り楽しみますが明日からはまた強くなるために私たちも頑張りますので!」
「2人とも〜」
「それに、ラモンズさんは第五層を目指すって言ってましたからね!」
「え、俺…」
言ってはいけない事を言ってしまったのかもしれない。
「そ、そっか!そうだよ!第五層目指すためにも頑張るぞ〜」
「今日私たちはどうすれば?」
「あ、そうそう!この先にモネとモカの家があるからそこに寄ってから中央の広場で待ち合わせしよう。」
「はい、分かりました。」
なにか家にあるのだろうか?少しは気になったけど2人に会ってから聞けば良いか。
私達は一旦お別れをした。
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「おはよう!バイス!」
「おはよう、昨日は随分お楽しみだったね。」
「いや〜2人にも迷惑かけたよ…」
「昨日のあの反応を見る感じだと君の本当の事を言ってないみたいだね…」
「あぁ…ちょっとな。」
「僕からしたら言うべきだと思うよ。君が…”王サルファ”の隠し子だってね。」
「仲間を全員集めてからでも良いかなとか思ってるんだけど…」
「君は王族だけが使える”キングスキル”を扱えるんだから危険な状況でもどうにでも出来るんだからさ。」
「俺は…嫌なんだ。王の子だって感覚も無いよ。」
そう。俺はこの国の王、”サルファの息子”だ。
とは言ってもサルファが本当に愛していた人との間に生まれた子だ。
だが、王都はそれを嫌い許嫁の娘だけを愛して育てた。だから俺は数えるぐらいしか王都には行った事がない。田舎の村でお母さんと2人でずっと暮らしていたからだ。
「俺もタイミングがある気がしてさ!」
「それもそれでラモンズ君らしいね…」
もし今の2人やこれから増える仲間にこの事を伝えたら今まで通りに接してくれるだろうか…
そんな事ばかり考えてしまう。
「まぁ、今日はとことん楽しんでってよ。」
「うん!」
今日はとりあえず目の前の祭りのことだけ考えよう。
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「ごめんくださいー」
私達はモネとモカの家に来た。
「何かあるんですかね?」
「待ってたニャ〜」
着物のような物を持って2人が現れた。
「せっかくのお祭りなので、是非。」
これは浴衣というらしい極東の街の服でお祭りなどがある際に着る事が多い。
「私が着付けするから待っててね。」
そう言って綺麗な花柄の浴衣をを渡された。
そしてあっという間に私達は着替えが終わった。
「ふぅーどうでしょう?」
「す、すごく綺麗です!」
「ウチじゃないみたい…」
エレカさんは目をまんまるにしていた。
「じゃあみんなも待ってるし行くニャ!!」
「はい!」
これからみんなで楽しいお祭りみたいです。
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.
__数分後
「完成です。」
「うわぁ〜」
とても可愛い浴衣姿に自分とは思えなかった。
「2人とも可愛いからやっぱりお似合いだニャ!」
「エレカ!すごく可愛い!」
「…あ、あんたも可愛いよ。」
照れくさそうにエレカはそう言った。
「じゃあラモンズさんの所に行きますか。」
「はい!!」
こうして私達はラモンズさんの所に向かった。
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「お待たせしました〜」
「おお!2人とも…」
な、なんだこの姿は…
「ど、どうですか?」
いつもは髪を下ろしているアイリスはポニーテールに、いつもポニーテールのエレカはツインテールになっていた。髪型だけではなく…
「すごく似合ってるね。」
「はい!浴衣って言うらしいですよ!」
「2人とも可愛いよ!」
「ウチらに見惚れてたんですね?」
「い、いや〜」
「じゃあ見惚れてないんですね?」
「い、いや〜…まあ!今日は楽しもう!!」
「あ〜誤魔化した〜」
「モネもモカもありがとう。」
「みんな冒険続きで疲れただろうし今日はゆっくりするニャ〜」
「私達は準備とかあるので3人で回ってください!」
そう言って2人は去っていった。
「よし、今日は好きな物沢山食べて好きな事沢山しよう!」
「はい!」
「うん!」
その後俺たちは食べ歩きをしたり射的をしたり沢山遊んだ。
「いや、楽しみすぎましたね。」
「この後さ花火があるんだよ!昔からの俺の特等席があるから一緒に行こう!」
「なんだかラモンズさんが子供っぽいですね。」
「え、そうかな?」
「いつも私達を引っ張ってくれてありがとうございます。」
「ウチももっと強くなるよ。」
「2人とも!」
もう少しで特等席に着くっていうのに嫌な予感がした。
「み〜つけた。」
「誰だお前。」
一気に空気が凍った。
「俺は四魔と呼ばれる魔族の1人”リンプ”だ。」
魔族が目の前に現れたのだった。
ー続くー
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