第12話

ライフオブホープ


その威圧に怯えまくる私…


「やっぱバイスがパーティを組んだって噂は本当だったんだね。」


「まあ気がついたら強い仲間が懐いてしまってね、僕も基本はこの仕事だけどより深層のダンジョンにも向かえているよ。それでただ僕に会いにきた訳じゃないよね?」


「流石鋭いなぁ…実はお願いがあるんだ。」


「なんだい?」


「俺たち3人に稽古をつけてほしい。」


そう、私達はここに来る途中こんな事を言われた。


「噂によるとバイスが最近仲間を入れてパーティを組んだらしいんだ。強いって噂だからさどうしても一度稽古をつけてもらいたくてね。」


だから今私たちはここにいる。


「もちろん良いとも。アイリスさんはアレクとエレカさんはモナとモカ、そして…」


「あぁ俺はバイスとルークさんにお願いしたい。」


「実はそのつもりで俺らも来たんだぜ。」


「え?」


ルークさんの発言に私達は驚いた。


「実はバイスさんからラモンズさんが来た時に絶対稽古をつけて欲しいって相談されるって言われてね、まさかと思ったが本当だったとはな。流石はバイスさんだぜ。」


「全部お見通しって訳か!」


「明後日は年に一度のお祭りだからね、明日は各々稽古といこう!」


「はい!がんばります。」


「ウチ、やってやるです!」


「ででもさ…」


「やっぱお前も気になるよな?」


そう言ってみんなの視線が私とアレクさんの方に向いた。


「アレク人と話せないからなぁ…」


「アイリスはあまり人と話すのが得意じゃないからなぁ…」


も、もしかして!!


.


.


.


__次の日


「あ、あの…よろしくお願いします。」


「……。」


稽古の日が来てしまった。


人見知りVS人見知り…


導き出される結論は………



沈黙



「とりあえず私のおじいちゃんに教わった稽古やりますか…確か…魔法陣を書いてその中でお互いの魔力をぶつけ合うとかだったような…」


「ア、アイリスさんのお爺さんって…」


「は、はい!」


声が裏返ってしまった。


「おじいちゃんって言っても血がつながってないんですけど、モルガンという…」


「やっぱりそうですよね!」


突然態度が変わった。


「ライトニングインフェルノの指揮官にして最高魔導士の称号をお待ちのモルガン様!」


「さ、様?」


「10歳の頃にはほぼ全ての魔法を習得し、あの、第二次魔族大戦で1番魔族を封印してデモンズスレイヤーなんだから!!様をつけたくなるよ!!」


「あ、あの…」


「すまん…熱くなってしまった。」


まさかの熱量に圧倒されてしまった。


「私、おじいちゃんの事全然知らなかったから少し嬉しかったです。でもなんでおじいちゃんって分かったんですか?」


「そ、そりゃあ魔法陣見れば」


「へ?」


「その書き方のクセはモルガン様直結の魔導士が使う文字だからな。」


少し誇らしそう。


「では…稽古を。」


「本気で来い。モルガン様に育てられた実力を見せてもらおう。」


.


.


.


「な、なんでウチが的に…」


「隠れても無駄ニャ!!」


「うりゃあ!」


「遅いです!」


「また、アウト…」


ウチは双子と一緒に森の中で稽古をしていた。


2対1という状況の中、一手二手先のことを見続ける事が大事と言われたけど…


「逃げるので精一杯ですね…」


お互いにインクの付いた武器を使い相手に色を付けられれば勝ちという単純な練習なのだが…


「エレカちゃんだけインクだらけだニャ」


「も、もう一回。」


「ただ無闇にやるだけじゃダメですよ、場面をもっと把握してもっとやれる事を考えてみてください。」


「はい…やってやる。」


.


.


.


「とりあえずルークとやり合ってみましょうか。」


「よろしくな、ラモンズ!」


「でも、なんで冒険者なのにこんな稽古をつけたいんだ?」


「今は3人だからね…それに俺も最前線で戦える男になりたいから。」


「その心意気!良いだろう本気でやるぞ」


.


.


.


こうして私達の稽古は始まった。


「魔力最大限!!」


「…。」


時間が経ったからなのか我に帰ったのか、またアレクさんは無口になった。


この魔法陣は特別なもので魔力が切れるか相手の魔力に押し切られると場外に出されてしまうので自分の魔力を測るのにも相手の魔力を測るのにもとっておきだとおじいちゃんは言っていた。


「クッッ…」


明らかに私が押されている状況だった。


「力の使い方がまだまだだな。それじゃあ魔力があっても使いこなせないよ。」


そう言って場外に出されてしまった。


「あの!魔力を上手くコントロールする方法って!」


「……ない。」


「え?」


「俺も知らない、でももっと素直に魔力の気を内から外に出してるよ。俺は。」


「ありがとうございます、もう一度お願いします。」


「う、うん…」


もう一度魔法陣の中に入った。


「魔力最大限…」


「もっと気をコントロールして。」


「はい。」


そう言えば昔同じようなことをおじいちゃんに言われた気がする。


「もっと心の中から身体全体を使うんだよ。」


「うん!」


いや、おじいちゃんじゃない…誰だっけ?


「全部の感覚を研ぎ澄まして!」


「うりゃー」


「よく出来たな、アイリス…」


そうだ、こうやるんだった。


「魔力最大限…」


もう一度心も身体も整えて…全身で感じるんだ。


「お前まさか…」


ー続くー

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