第2話

僕は気が利かない。



「気が利かないなぁ」と言われると、ドキッとする。


「ごめん」としか言いようがない。


気が利かないくせに、一丁前に胸の奥がズキンと痛む。


本当は気が利く人間でありたいのだろう。



「あそこ寄る?」


「どっちでもいいよ」


そんなやりとりがあったあと、僕は寄らずに車を進める。


「なんだ、寄らないのか」と言われて、ようやく気づく。


あぁ、本当は寄りたかったんだなぁ、と申し訳なくなる。


まったくもって不甲斐ない。


そんな空気を読めない人間が、今このエッセイを書いています。



気が利かないのは他人に対してだけではなく、僕は自分に対しても察しが悪い。


文章を書くようになって、そう感じることが多々あった。


自分の中に渦巻くものを、ぽろぽろと文字にしていると、「そうか、これが僕なんだ」と、初めて気づかされることがある。



今日もこうして言葉を綴る。


「僕はこういう人だよ」って、あなたと自分に伝わるように。

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