本気と建前

@omuro1

第1話

昨日、友人とドライブに行った。


8時に出て、20時に帰ってきた。


目的地もなく、とにかくずっと喋っていた。



友人は今、カクヨムで音楽系の小説を書いている。


高校1年の5月にギターを買ったという彼は、なぜどんな理由でギターを買ったのかさっぱり覚えていないらしい。


数万円するギターを高校生が買うのだから、それなりの気持ちがあったと思うが、何でか覚えていないと言った。



彼は僕に「じゃあ、何でバスケ部、入ったよ」と聞いてきた。


僕たちの中学にはバスケ部がなかった、なのに高校からバスケ部に入ったことを不思議に思ったようだった。


僕が「スラムダンクが好きだから」と答えると、なるほどと友人は納得した。



その直後、「いや、待って!違う、違う。これは嘘だ!」と僕は思わず叫んでいた。


当時、もう僕は何年もスラムダンクを見ていなかった。


納得しやすい理由を考え、口からそれが漏れたのだろう。


嘘を吐く気もなく、流れるように嘘を吐いた。


友人とはいつも本音で話し、壁などはもうとっくに無いはずだった。


本気で友人と向き合っているはずなのに、いまだに建前で話すことがあるのだと、自分自身に驚いた。



いつも、僕はどんな奴に見られたくて、どんな建前を言っているのだろう?

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