第2話大女優は脚も綺麗なんだな…


煌星教導学園へ行くことが決まってしまったし、気持ちを落ち着かせる為にも一度お茶でも飲むか……


そう思い立ち上がると、

ひよりが「お茶を入れるのですね。手伝いましょうか?」と言ってきたんだが……

何で、コイツは俺がお茶を入れるのが分かったんだ?


その場の状況や相手の仕草、目線から思考を読むのは俺の得意技のハズ……

それに、俺でも身に付けるのに暫くかかったのに、

流石、世間を騒がせる大女優と言ったところか


「いや、大丈夫。お前の分も入れてきてやるから、待っといて」


「では、お言葉に甘えさせて頂きますね」


お茶を入れにキッチンへ行くと、俺の部屋から何やらゴソゴソと探す音が聞こえてきた。


えっ……泥棒か? 

いや、今まで泥棒に入られた事もないし、こんな白昼堂々と侵入はしてこないだろう……

と言うことは、ひよりか……?

アイツは何をやってんだ?


俺は訝しみながらも、自室の方へ足を向ける。

自室に着くと、扉を開けたまま、ゴソゴソといった音を立てて、何かを探しているひよりがいた……


「えっ、オマエ何やってるの?」


「翔真さんですか……いえ、ちょっと探し物を……」


「俺の部屋で勝手に何を探してるんだ?」


勝手に自室に入り込み、悪気もなく言ってのけたひよりに、トゲを込めて尋ねると、

思いもしない答えが帰ってきた。


「それはもちろん、エッチな本です!」


「……そんなもんねぇよ!!!!」


コイツって国民的大女優だよな……?

男の部屋にあがりこんで、よくそんな事が言えるな……

それに俺はネット派だから、エロ本なんて置いてないぞ。


「あっ、今の時代だと本ではなく、パソコンやスマートフォンの方ですね?」


「な、な、何の事かな?」


「クスッ、翔真さん動揺しすぎです」


「い、いやー、ホントに何の事を言ってるのかさっぱり」


「翔真さん、そんなに隠さなくても大丈夫ですよ。」

「年齢が私や翔真さんぐらいの男性ですと、こういった事に興味津々なのは理解していますので。」


「そんな理解はして欲しくないぞ……」


「それで翔真さんは、どの様なジャンルがお好きなのでしょうか?」


「ブフッ!!……何の事だ?」


「もちろん、エッチな本で好きなジャンルですよ?」


「言い直すなよ……と言うかなんで、ひよりはそんな事を知りたいん?」


「それは将来の為ですね」


「うっ……

ひよりの将来に何で俺の性癖が関係してくるんだ?」


「それを私の口から言わせるのですか?」


こ、コイツ……

滅茶苦茶思わせぶりな態度を取りやがって……

でも、これは罠やろ! 

こっちは昔から、その手口やられてるからお見通しやぞ。

ひよりの猛攻に対して、俺は自身の心に鉄壁の守りを築いていると、ひよりはさらに追撃をかけてきた。


「翔真さん。一つ訂正です。

私の将来ではなく、私達・・の将来ですよ?」


ひよりはそう言うと首をかしげ、その反動で黒髪が揺れる。

髪が揺れた為か、甘く爽やかな花の香りが俺の鼻腔をくすぐり、

更にトドメと言わんばかりに上目遣いでこちらを見てきた。


クソっ……

ムカつくが可愛い過ぎるだろ……

俺ってこんなチョロかったか?

昔、女優とかアイドルを見ても、頭の足りてないゴミぐらいの認識だったハズが……

暫く引きこもってたのが原因か?

ひよりに乗せられるのは癪だが、やっぱりちょっとでも、外に出ないとヤバそうだな……


「私達の将来か……確かにな、何が起こるか分からないから、あり得ないとも言えないな」


俺が肯定とも否定とも取れない返しに、ひよりは少しキョトンとしてたが、まだ追撃の手を休めない。


「そうですよね。

では、翔真さんの好きなジャンルを教えて下さい。」

「良くある巨乳ものでしょうか?、それとも貧乳もの?

少し捻って熟女ものとかどうでしょうか?」


「…………」




「急に黙ってしまいましたね……

でも翔真さんの性格上、黙ってしまったって事は先程のジャンルは当てはまらないですね……」


「ッ……………………」


「うーん、そうですね……

あっ、翔真さんは良く私の脚を見ていますよね?

と言うことは、脚フェチだったり……?」


「ウッ………………」


「当たりのようですね♪」

「へぇ、翔真さんは脚フェチなんですね~」


そう言いながら、ひよりは脚を俺の方に突き出し、ニヤニヤした表情を浮かべ、俺の反応を楽しむつもりのようだ……


甘いな、神童と呼ばれた俺がこの程度で動じるワケがないぞ!

自身に活をいれていると、ツン、ツンと俺の脚を走る感覚に思わず目をやってしまう。

すると、ストッキングに包まれた、長くて細い脚が脳裏に焼き付いた。


「ゴクリ……」


芸術品を思わせる美しさに思わず生唾を飲み込むと、

ひよりがポツリと一言漏らす


「ねぇ触ってみたいですか?」


「…………」


マジで危なかった……

俺は鋼の意思で耐えた! マジ偉い! 


「何か言ってください……」



「バカ言ってないで、早くリビングに戻るぞ」


リビングに戻りながら、内心では自分自身の理性を全力で褒めていた。


あの場面で触ってたら、社会的にも物理的にも、俺の人生終わってたな……








リビングに戻り、お茶を飲んで一息つくと、

ひよりと煌星教導学園について話し合う。


「それで、煌星の事を教えてくれるか?」

「俺が知ってるのは、ひよりが言ってたように、色んな分野で活躍している著名人が多く在籍していた学校で、

入試問題がかなり難しいって聞いたことがあるぐらいか」


「その認識で間違いありませんよ。

ただ2点付け加えますと、著名人が多く在籍していた・・ではなく、今も在籍している・・ですね。

2点目は入試問題はそこまで難しくありません。

勿論、倍率は7倍を越えて、かなりの難関校になっていますが、落ちる方の大半は面接で弾かれていますね」


「倍率7倍……でも、7人受けて1人が受かるワケか、日本一の高校を謳ってるわりには低いよな」


「それは、入試資格を得られる方が少ないからですね。

煌星学園に出願出来る枠が、中学校ごとに決まっていて、出願を出来る時点で、その方は中々優秀ははずですよ」


「そんな学校に受かって、その上推薦枠まで持ってるって、ひより凄すぎないか?」


「ドヤッ!」


「ドヤ顔を口で表現するなよ……

それで、そんな凄い学校に入ってお前は何をやりたいの?

それと、俺に何をさせたいのか教えてくれ!」


「そんな大層な目的はありませんよ。」

「私は、一つでも多く武器を増やしいたいと思い、煌星学園に入ることを決意しました。

私の今の武器は女優の仕事を通じて得た、演技力や知名度などですが、

もし仮に不祥事でもあれば一気に失うものでもあります。

なので、私は様々な事を学び、どんな道でも歩いていきたいと思っています」


「大層な理由はないって言ってたけど、その年齢で将来を見据えて行動するって凄い事やと思うぞ」


「ありがとうございます」


「それで、俺を煌星に入れたい理由は?」


「私が翔真さんと一緒の学校に通いたいからです♪」


「お、お前、何を言って……」


「冗談ですよ?」


「心臓に悪いからやめてくれ……」


「まあ、あながち間違いではないのですが……」

「私は翔真さんの凄さを他の方にも知っていただきたいのです!」


「さっきも言ったけど、俺なんて昔は凄かっただけで、今は大したことないぞ」


「翔真さんはそう言いますよね。でも良いんです。

私の言ってる事と翔真さんが言ってる事、どちらが正しいのかは、煌星学園に行けば分かりますので」


ひよりは昔から俺の事を買ってくれたが、ここまでとはな……

ここまで言われたらちょっと頑張ってみるしかないよな。

でも、人と関わるのは面倒くさいな……


「それと、煌星学園ではポイントが全てと言っても過言ではありません。

詳しくは煌星学園で説明があると思いますが、

ポイントさえあれば何でも叶うはずです」

「なので、ポイントさえあれば、女の子にエッチな事も出来るかもしれませんよ?」


「……!? い、いや、俺はそんな事に興味はないぞ…」


「ポイントがあれば、脚も触らせてもらえるかもしれませんよ?」


「だ、だから、俺は!……」


ひよりのしつこさに、少しきつめに反論しようとしたせいか、

勢いよく立ち上がってしまい、テーブルの上に置いていたコップを倒してしまった。


倒れたコップからはお茶が流れ、テーブルを伝い、向かい側に座っているひよりの元へ行ってしまう……


ひよりはすぐに避けたが、避けきれず脚に少しお茶が掛かってしまった。


「わ、悪い……」

「すぐに拭くもの持ってくる!」


「ストッキングがちょっと濡れただけなので大丈夫ですよ」


何をやっているんだ俺は……

動揺して醜態をさらし、ひよりに迷惑をかけてしまった……


自己嫌悪に陥っていると、ひよりが椅子に座り、ストッキングを脱ぎ始める


「お、おい、ひより……

こんな所で、何をするつもりや」


「お茶が少し掛かってしまったので、ストッキングを脱ごうとしてます」


「いや、見たら分かるわ! 

そうじゃなくて、男の前でストッキング脱いだらヤバイやろ!?」


「だって翔真さん、私の生足を見たくて、わざとストッキングにお茶を掛けたのでしょ?」


「人聞きの悪い事言うなよ!!」

「事故や事故! 100%事故!」


「そうですか。わざとでしたらストッキングを脱ぐところを見せても、良いと思ってたのですが……」


「……!? ゴクリ…」


「なんでしたら、脱がせてくれても良かったのに」


「……………………………俺は部屋に戻るから、ひよりはここで、そ、そのストッキング脱いどき!」


そう言うと、俺は逃げるように自室へ駆け込んだ


ハァハァ……危なかった……

あいつマジで男の家に一人でいる自覚ないだろ!


脳内でひよりを罵倒していると、

ひよりからリビングに戻ってきてと言われたので、

心を落ち着かせながら、リビングに戻る。


すると、そこには両足ともストッキングを脱いだ、ひよりの生足があった……

一瞬見とれてた後、ひよりと目が合い、居たたまれたくなったので、慌てて自室へ戻るのだった……







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