第4話 白井姫の素性
クラスメイト達が俺を残念な物を見るような目で見てきて、誰も話しかけてくるような雰囲気ではなかった。ま、まずい。これでは友人が出来ずにボッチ生活になってしまう。そんな中で、一人のクラスメイトが俺の元へと歩み寄ってきた。彼は、窪田悠介と言い、何でも学内の新聞部の部長だ。高校だと珍しい転校生だからと入ってすぐにインタビューを受けたことがあるので、何度か話す機会があった。
残念ながら俺がコミュ障すぎて、何を話せばいいのか分からなくて無言が多かったから最近では話しかけてくれなかったのだが……。クラスメイト達の雑談を盗み聞きしてるから、何を話せばいいのか理解したので今ならいけるはずだ!
「よぉ松田だったな。転校して、いきなり学年のアイドルの白井姫を怒らすとはなぁ、やるな!」
「……まさか、あそこまで怒るとはね。それと姫って?」
アイドルと言われるのは理解できた。
ミディアムカットの茶髪の美少女だ。スタイルも制服の上からでも分かる程に、とある部分が大きかった。そして同じ制服でも校則で許された限りで、おしゃれに気を使っているのが一目で分かる。
「ほら、あの生真面目な性格だろ?もちろん見た目は文句なしで学年トップどころか学校でも群を抜いてる。だがな……あの性格だから男どころか女友達すら少ないんだよ」
「一匹狼ってやつ?」
「まぁそんなところかな。それに白井姫は、白井財閥のご令嬢だからよ。そこから姫って言うあだ名が付いたみたいだぜ」
白井財閥か……流石にそれは知っている。それに、この学校に入る時に予め由梨に要注意人物としてリストでピックアップされた一人だからね。
「なるほどね。確かに攻撃的かつ毒舌気味な性格かもしれないね。可愛いからちょっと嬉しい気分になるけどね♪」
『え……』
『は!?』
俺たちの話を聞いていたクラスメイトがまた驚いたからなのか、声が漏れていた。
「お……お前もしかしてMなのか?」
「え?そりゃMにもなるさ。当たり前だろ?」
窪田は何を言っているんだろう。
あれほどの美少女からの毒舌である。凄く興奮するじゃないか?もしかして俺の感性は変なのか……。
「そ、そうか……。まぁ、人それぞれだもんな。じゃあ俺次の授業の準備するから!」
窪田は少し引いた様子で返答し、自席に戻った。
流石にコミュ障の俺でも窪田との距離が少し開いたのが分かって、少し悲しくなった。
それにツンが多い彼女がデレたら、凄い破壊力があると思わないのかね?まだまだ、浅いな……。
まぁ俺がデレさせることは不可能なんだけど……もう話す機会も無さそうだし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます