第2話 美人な保護者さん
「ただいま~!」
「おかえりなさい。ご飯にします?お風呂にします?それとも…わたし?」
そう言うのは俺の保護者である氷室由梨だ。北欧ノルウェーとイタリアのハーフだ。
もちろん、氷室由利は偽名だが下の名前である由利は本名とのことだ。生まれが日本であり、育ちがアメリカという中々ハイブリットすぎる女性である。
そして身長170cm近くのスタイル抜群の美女で、銀髪の綺麗な長髪と長い睫毛に綺麗な蒼い瞳が特徴だ。チャームポイントは、普段からしているガーターベルトだ。
そして俺と一つしか違わないのに、既にアメリカで理学博士号を取得済みの才媛だ。
日本では戸籍を弄り二十歳として登録されていた。
「随分と日本の文化に染まりきってるね……。ご飯にしようかな 」
「そうね。漫画とか面白くて研究の合間によく読んでるの。ラーメン食べたばかりのくせに、よく入る身体よね」
「そうだな。燃費が悪くて食費が掛かってしょうがないよ」
「本当にそうよね。アメリカにいた頃と違って、今は無職で私の紐になってるものね」
「ひ、紐じゃないし……。一応学生っていう身分があるから!」
「はぁ……。まぁ停職中なんだから仕方ないわね」
少し溜息を吐いた由利が呆れながらリビングへと向かったので、俺も付いていく。
ごめんって。俺だって好きで停職してるわけではないし……。
しかし停職中でもお賃金が発生するのは驚きだった。それに元の給料が良かったからか、中々悪くない金が毎月入ってくるのだ。
これは少しでも長くニートをするしかない!
突然、由利がクルリと振り返った。
「亮、貴方もしかして、このままニートでいいとか考えてないでしょうね?」
「……考えてないよ……。もちろんだよ。俺が由利だけを働かして、のうのうと生きようとしてないよ……本当だよ?」
相変らずの勘の鋭さである。俺は出会ってから今までこの女を騙せたことが無かった。
なぜだ?任務ではブラフは得意なはずなのに……。
「貴方が分かりやすいだけよ……。もし、私の紐になるんだったら結婚してもらうから覚悟してね♪」
ニッコリと笑顔を浮かべて由利は言った。
見た目ヨシ、性格ヨシ、収入ヨシと完璧超人の女であるので、二つ返事で了承したいところだが……。
「お前と結婚すると組織から離れられなさそうだから、嫌だ!」
「あら、振られちゃったわ……ぐすっ」
「おい、泣きまね止めろ!!俺がそれ苦手だと分かってやってるだろぉぉ!」
「……ぐすっぐすっすん……」
「頼むよぉぉ……」
「……はぁ分かったわ。貴方って相変わらず女の涙に弱いわよね。だから任務で何度も足元掬われるのよ」
「べ、別に誰でもってわけではないし……」
「そうね。美女にだけかしら?」
俺はギクッっとして、恐る恐る由利に視線を合わせた。
凄いゴミを見るような目で俺を見ていた。凍てつくような瞳であった。美人だからか余計に怖く感じる……。
「ち、違うよ……」
「そういうことにしておいてあげるわ。ほら手を洗って来なさい。今から少し温め直すから」
「わ、分かった」
俺はそう言って手を洗い、ソファーに座りリビングのテレビを点けた。
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