第15話:黒神龍(前編)
異様な魔力の流れや淀んだ空気の中歩き続けると、森の最奥にたどり着いた。
そこには漆黒のドラゴン――森の主が佇んでいた。
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種族名:黒神龍
名前 :アズヴァーン
状態 :歪魔力侵食
特徴 :漆黒の鱗は全てを弾き、その牙は全てを穿つ。とこしえの島の秩序を守り、維持する為の存在。
能力 :
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その姿は巨大で、漆黒の鱗には赤い紋様が浮かび上がり、口からは赤黒い魔力が漏れている。大きな翼を広げたその姿からは、禍々しい威圧感が放たれていた。
「……完全に暴走してるな」
僕は剣を握り締めながら呟く。
暗雲の下、島の大地が激しく揺れ、中心にそびえる古龍アズヴァーンが姿を現す。赤黒い瞳は狂気に満ち、天を震わす咆哮が空気を切り裂いた。
エルシアが即座に手を構え、防御の魔法陣を展開する。
「……あの古竜、ただ暴れてるだけじゃないわ。島全体がその影響で乱れてる!」
落ち着いたてエトワールを指輪から剣へと変形させた。剣身に星明かりのような光が宿り、周囲の空間が穏やかに輝き出す。
「間違いないね。暴走してるけど、本当は守りたいだけなんだろう。正気を取り戻さないと……島も巻き添えになる。」
エルシアは呆れたように苦笑を浮かべる。
「またそんな簡単そうに言う!アズヴァーンの魔力、並の魔法じゃ防げないわよ?」
「だから星力も使う。エルシア、援護お願い。」
エルシアはため息をつきながらも杖を掲げる。
「まったく……分かったわよ!」
アズヴァーンが巨大な翼を広げ、空を裂くように鋭い爪を振り下ろす。その爪は鋼鉄すら簡単に切り裂きそうだが、星力を纏わせたエトワールで爪を真っ向から受け止めた。
「さすがの衝撃だけども、この程度じゃ止められないよ」
火花が散り、衝撃波が大地を揺らす中、彼の巨体に押されることなく剣で力を弾き返す。その隙をつき、アズヴァーンの懐に飛び込むと、星力と魔力を纏わせた拳をその胸部に叩き込んだ。
巨竜の鱗に直撃する音が響くが、アズヴァーンは怯むどころか怒りの咆哮を上げる。すかさず尾を振り回し、反撃を仕掛ける。
アズヴァーンが尾を振り上げ、僕を叩き潰そうとするが、回転しながら剣を巨大な槍へと変形させ、尾を突き返す。衝撃が直撃し、雷が走る尾の動きを一瞬止めることに成功した。
星力と魔力を混ぜ、そのまま空中へ軽やかに飛び上がり、アズヴァーンの攻撃をかわした。
「フロート」
エルシアも魔法を発動し、周囲の空間を歪ませるような結界を展開。
「これで衝撃波は防げるはず!でも長くは持たないわ!」
アズヴァーンは翼を大きく羽ばたき、突風とともに竜巻を生み出す。周囲の木々や岩が巻き上げられ、僕とエルシアを襲う。
「……本当に容赦ないな。けど、まだ本気じゃないみたいだ。」
アズヴァーンの目が不気味に輝き、口元が灼熱の光を宿す。次の瞬間、超高温の炎が奔流となって放たれ、周囲の地形が溶け始める。
エトワールを盾に変形させ、さらに魔法を発動する。
「光・
一方、エルシアが氷の魔法でバリアを補強し、炎の勢いを弱める。
「まだ耐えられるけど……次はもっと激しくなるわね。」
「大丈夫。これ以上は攻撃させない。」
エルシアに合図を送り、星力と魔力を複合させた光の球体を空中に展開し始める。球体は無数の光の粒を帯び、輝きが徐々に増していく。
「アズヴァーン……君を傷つけたくはない。でも、このまま放っておくわけにもいかない。」
アズヴァーンが再び咆哮を上げ、雷を纏った尾で地面を叩きつける。その衝撃で地割れが広がり、二人の足場が崩れる!
崩れる岩を跳ねるように避けながら、剣を掲げる。その剣先に星力と魔力が渦巻き、空間に紋章が浮かび上がる。
「本当に大丈夫?相手は途方もない時を生きた古竜なのよ!」
「もちろん。僕たちなら、絶対に止められる。」
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