第10話:ルミの力

この話は短めなので2話同時に公開します!


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魔道具という新たな知識に心を躍らせた僕は、さっそく作業を始めていた。


「これをこうして……ここにマナを込めると動くんだよね?本にはそう書いてあったけど……うーん、上手くいかないな」


僕は魔道具作りの基礎として、簡単なランタンを作ろうと試していた。金属で作った枠に魔力を込めて、光を灯す仕組みだ。


しかし、いくら試しても魔力がうまく枠に定着しない。


「やっぱり、こんな小さいものにマナを流し込むのって難しいな。エルシア、これどうやったらうまくいくんだ?」


「魔力の流れを安定させる必要があるのよ。そのためには、もっと繊細な制御が必要ね」


「繊細か……やっぱり慣れが必要なんだね」


僕が額の汗を拭いながら呟いたその時だった。


ルミがじっと僕の作業を見つめていたかと思うと、すっと前足を枠に乗せた。そして、静かに目を閉じると、薄い光がその体から溢れ出した。


「……何をしてるの?」


僕が声をかける間もなく、ルミはランタンの枠に流れ込み、瞬く間に柔らかな光を灯した。


「……え?」



---


「やっぱり。何か特別な雰囲気は感じてたけどもその狐……ただの狐じゃないわね」


エルシアが驚き混じりの声を上げる。僕も目を見開きながらルミを見つめた。


「ルミ……そうなの?」


ルミは僕の声に反応するように目を開き、小さく鳴いた。その鳴き声はどこか誇らしげだった。


「まさか。既に定着したマナを直接操れるなんて。普通の魔物でもそんなことはできないわ」


エルシアがランタンをじっと見つめる。枠に込められた魔力は安定しており、完璧に光を放っていた。


「つまり、ルミが僕の失敗したマナを再利用して正しく流し込んでくれたってことか?」


「そういうことね。でも、それだけじゃないわ。このルミ……魔力の流れを整えるだけじゃなく、まるで自分の意思で調整しているように見えるわ」



---


ルミは再び僕の隣に座り、尻尾を振りながらランタンの光を眺めている。その姿を見て、僕は思わず笑みを浮かべた。


「ルミ、本当にすごい奴だったんだな。これからはもっと頼らせてもらうぞ」


ルミは小さく鳴いて応えると、僕の足元に丸まって座り込んだ。その動きはどこか満足げだった。



---


「でも、リオ。こうなると、この狐の正体がますます気になるわね。魔物とも違うし、普通の動物でもない……いくつか考えつくものはあるけども。もしかすると、特に珍しい存在かもしれないわ」


「特別な存在、か。まあ、何にせよ仲間には違いないからね。ルミ、これからもよろしくな」


僕がそう声をかけると、ルミは再び小さく鳴いて尻尾を振った。その動きがどこか嬉しそうに見えた。



---



夜も更け、森は静けさに包まれていた。焚き火の明かりが揺れる中、僕は完成したランタンの光をぼんやりと見つめていた。


「これで少しは便利になったな……」


疲れが出たのか、僕は地面に腰を下ろし、横に座るルミを眺めた。その毛並みが月光を受けて、まるで虹色に輝いて見える。


「……綺麗だな、ルミの毛並み」


普段は上品で美しい銀色の見事な毛並をしているが、夜は星々の光を受けてか星々の輝きを吸い込んだかのような虹色の輝きを薄らと放っている。


僕には星の力に関連する力があるけども、ルミも結構似たような存在なのかもしれない。



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