第37話:天気予報は8割当たれば無問題
さて、今年もやってきました、冬の到来。
今年は何をしようかな~、なんて考えていると家のちびっ子たちの泣き声が……うん!?
「どうしたどうしたフロージ、ヘディン?」
「にーちゃ!ぐすんヘディンさみしい!」
「お兄ちゃん、ひっく皆に会いたいよぉ。」
うーんそうか、確かにこの冬の季節になる前までは皆で行動することが多くなってたからな……。
でも外は猛吹雪だし、出てしまえば帰ってこれる保証もない。
うーんどうしたものか。
「…………デバッグモード。」
部屋に戻って一人何とかできないかを考える。
なんとかは、出来る。天気の変数を変えればいいだけだ。
だがそうした場合どこに影響が出る?
雪の降らないところに急に雪が降り始めたら大混乱になる。
積雪量の少ないところにちょっとずつ分配するのがいいか?
いや、それだと地域によっては生活がままならなくなりそうだ。
うーん、吹雪を別の何かに変換できればな~。
…………うん?別の何か?
そうか!雨に変換してから熱帯地域に分配すればいいのか!
時間はかかるが、ないよりあるほうが喜ばれるのなら問題ない!
よし!とりあえず乾燥地帯がどのあたりかを調べて、変数を割り当てよう!
調べた結果、思いのほか水不足は問題になっているっぽい。
水を売る商人やオアシスを占領している人たちには悪いが、家から新鮮な水をお届けしよう!
出来る限り少数で、一定間隔で降ったり止んだりを繰り返すように調整する。
あくまで自然に、無理のない程度に。
今私、すっごく悪いことをしている。
悪いことってやってるときは楽しいよね。
まぁ後が怖いが、能力がバレなければ問題ないだろう。
そんなわけで、
「デバッグモード!」
視界に変数の塊が駐在する。
微調整、リアルタイムの監視は大事だ。
と、いうことでしばらくはデバッグモードを起動したままにする。
これがなかなかに邪魔だ。
視界の端に常に数値が表示されている。
昔ゲームで遊んでいた時にFPSを確認していた感覚に近いかもしれない。
これも今後なんとかなればなぁ。
「うわー!うわー!すごいすごい!真っ白だー!」
「すごいー!」
そんなこんな、すったもんだでこの地方の吹雪が収まりました。
といっても雪は降っているのだが、これ以上は怪しまれるだろうからやめておいた。
あくまで冬でも遊びたい子供達のための仕様変更だ。
ただでさえ「吹雪が止んだ!?いったい何が……」と領主室で悩んでいる父がいる中で快晴にするわけにもいかない。
いや、もう手遅れな気もするが。
「カノイー!」
「カノイ様ー!」
「リボル!ヴァイス!」
無事目標は達成!
冬に友達と遊ぶ、実績ゲットだ!
「俺さ!俺さ!雪合戦してみたい!」
「僕は雪だるまを作ってみたいな~。」
「フロージ!かまくら作る!」
「ヘディンもー!」
寒い冬の空の下、子供達が元気に駆け回る。
あぁ、頑張ってよかったなぁ。
影響が出ている地方の方々には本当に申し訳ないが、今この瞬間は楽しませてほしい。
カノイ・マークガーフ、8歳、今までで一番の悪事を働いた冬の出来事である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます