第35話:青い食べ物は食欲がっていうけどソーダアイスは青い

夏、暑い、夏。


しかし!今年は状況が違う!


ということでファンとトムの農場から牛乳を取り寄せて、森で木の実を集めてっと、


「ここでデバッグモード!」


牛乳と木の実を消してアイスを生成!


8本の牛乳と8つの木の実が8本のアイスに変化する。


べ、便利ー!


ただ冷気を生成させるためか部屋が熱くなるな。


温度変化は室外でやったほうがいいな。


おっと、アイスが溶けてしまう。


急ぎ教室で待っているフロージ、ヘディン、リボル、ヴァイス、シュバルツ、トム、グルートに届けなければ!


あ、ファンとジェイルとエイルは成人済みのため家のお手伝い中だ。


まだまだ皆現役なので休みは多くもらっているが、今日は逃げられなかったらしい。


がんばれ~。


おっと、話していたら教室の前だ。


「おーい皆ー。アイス作ったから食べよー。」


「お兄ちゃんのアイスだ!」


「にーちゃアイス!」


「カノイが作るアイスって甘いからな~。」


「皆好きだよね。」


「うん!」


「大好きです!」


「カノイ様のアイス……!」


よーしよし、皆良い子で待っていたな。


家の子達は良い子ばかりで本当に助かる。


我儘も滅多に言わないし……いや、言ってほしいところもある。


もっと子供らしく我儘も言っていいのよ?


無茶のない範囲なら叶えるから。


「カノイ様!」


「うん?なんだいトム君?」


「あのね、えっと、ぼく青い木の実アイスが食べてみたいです!」


お?早速だがかわいい我儘だな?


青い木の実……夏場に木から採れるブドウのような実だ。


特徴は青い木から採れる、前世から考えるとかなりファンタジーな見た目だ。


あれを手に入れるにはそうだな……。


「よし!皆で課外授業だ!」


「「「課外授業?」」」




魔物の出る森の近く、出入り口から近い位置にその果樹園はある。


魔物の森から実験的に植林を行うその施設では毎年豊富な木の実が取れる。


「ということで課外授業!青い木の実の収穫をお手伝いしよう!」


「「「おー!」」」


「はっはっは、みんな元気だなぁ。」


「木のじい、今日はよろしくお願いします!」


「しまーす!」


「こちらこそよろしくお願いしますよ、カノイ様。ここいらはいつでも人手不足だからねぇ。」


そんなわけで木のじいの管理する果樹園で青い木の実を収穫してちょこっと分けてもらおう作戦!始動!


「おじさんの手のひらくらいの大きさに育っている実を、こうして根元からぱちぱちっと切っていってくださいね」


「ぱちぱち?」


「ハサミでぱちぱち、ですね。」


「こうか?」


「上手ですよ。このかご一杯に摘んできてくださいね。」


「はーい!」


「俺一番大きいの採る!」


「美味しそうなのいっぱいとってきます!」


みんな元気に飛び出していく。


この調子なら夕方までには収穫は終わるだろう。


「木のじい、例のものは?」


「取り揃えております。」


よーしこっちはこっちで頑張るか。




「いっぱい採れたぞー!」


「採れたぞー!」


「フロージ様!リボルの真似はしてはいけません!」


「と、採れたぞー!」


「シュバルツ!?」


「あはは、みんな元気だね。ぼくはちょっと疲れちゃった。」


「おれも……。」


「皆、お疲れさま~。」


「「「カノイ様!」」」


「お!カノイ!こっちに参加しないで何してたんだよ!もしかして、あれか?」


「あれだよ~。当たり前だろ!頑張った皆をねぎらうための……アイスボールだ!」


「「「わー!」」」


「きれーね!」


「きれい!」


「七色だ!」


そう、あれとはもちろん、アイス作りである。


今回は木のじい協力のもと、四季折々の果実を使って作成してみた。


集めてみると何とも綺麗な虹色!


美味しそうか?というと何とも言えないが、キラキラ綺麗なアイスが完成したわけだ。


全員に渡すと皆嬉しそうに青い実のアイスから頬張っていく。


「おいしい!」


「ジューシー!」


「あまーい!」


それぞれ感想を言いながら好きなようにアイスボールを口に運んでいく。


うんうん、いいぞ~労働の後のご褒美は格別だろう。


これを覚えて将来しっかり働いてくれ~。


あ、でも、なんか大きくなってもご褒美準備係に任命されそうだな。


もういいか~それで。皆の喜ぶ顔が見れて、死ぬ危険性が低いなら。


カノイ・マークガーフ、8歳、自分の将来が少し心配になる夏の出来事である。

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