第34話:普通世界は10進数

8歳になった朝、デバッグモードに変化があった。


「数値の部分が8進数になってるー!」


そう、文字列以外の数値の部分、具体的に言うと2進数だった部分が8進数になっている。


なんでわかるかって?


2ページ目に8までの数字が表示されているからだよ!


あ、2ページ目は翻訳してないです。


なんか、この村以外の情報っぽいからいいかなって。


王都とか行くようになったら改めて解析しよう。


それはそうとこれは大分面倒になるのでは?


今まで2進数だったから文字の切れ目がわかりやすかったけど、8進数になると文字コードとして読むときに読み間違いが起きるかもしれない。


唯一の救いは文字コードでAが「101」、伸ばし棒が「55」だったということを覚えていたことか。


大体3桁で、55の時だけ2桁。


これさえ覚えておけば2進数と同じ感じで読める、はず。


いや、面倒くさいことがもっと面倒くさいことになっただけだな。


しかし、8歳で8進数か。


うん?ということは10歳で10進数、16歳で16進数だろうか?


……よし!16歳になってから全部読もう!


プログラマは16進数との付き合いが長いのだ。


ということで、一旦保留!


あ、でも数値はいじりやすくなったかも。


0から8までの数字はいじりやすい。


9は8進数で10になるのでちょっと面倒くさい。


よし、こっちも縛りとして0から8までの数字以外はいじらないようにしよう。


下手にバグらせると何が起きるかわかったものじゃない。




「おはちゅにおめにかかりましゅ!ヘディンはヘディンでしゅ!」


うーんかわいい。今年から隠れ鬼にヘディンも参加することになる。


そんな隠れ鬼をしながら能力に縛りを加えていく。


そうだな、人の命を奪う行為も緊急事態以外は禁止。


これは人として当たり前の部類だが、使用自体はありにしておかないと……もうあんな思いはしたくない。


後は、そうだな、世界に与える影響は最小限に。


これは前に季節を変える変数を探していた時に決めておいたほうがいいなと思った。


もしもその辺をいじってしまったら生態系が崩れてしまう。


それは非常によろしくない。


四季折々、うん、いい言葉である。


アイテムの編集は解禁しよう。


例えばレタスをキャベツに変えたり、斧を剣に変えたりとかは緊急時に使えそうだ。


ちょっとずつ、こっそりと、使いこなしていければと思う。




そういえば、実は新機能も加わっている。


なんと検索機能が付いたのだ!


これは大きい。


例えば100個の卵を探したいときには「100」か「卵」で検索をかければいいのだ。


すっごい便利!


もう、なんというか、能力側から俺を使えと言ってきている気がする!


まぁ他の奴にバレたらやばいからこっそりと使おう。


手始めに目の前のジェイルの素早さを8減らしてみる。


急に減速したジェイルをちょっとだけ足が遅かったエイルがタッチする。


ジェイルは「なんで?」って顔をしている。


面白いなこれ。


私はそっとジェイルの素早さに8足した。


カノイ・マークガーフ、8歳、能力を悪用し始めた春の出来事である。

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