第22話:5歳児の印象がぶっ壊れているのが日本人
5歳になった春の出来事。
私はいつも通り、生誕祭の準備が進んでいるであろう広場に向かう。
今日はかなりゆっくりの出勤である。
なぜなら!私の手には今!
「にーに!おたんじょうびおめでとうね!」
かわいい弟の手が握られているのだから!
ちなみに去年お外デビューはしていたのだが、なんというか、たっちがまだできなかったフロージは子供達の遊びに連れていくわけにもいかず、歯がゆい思いをしていたのである!が!今年は!
「にーに!おにごっこたのしみね~!」
フロージももちろんイベントに参加するのである。
ほら見て!本人のこのやる気!
かわいいね!最高!
というわけで今年はいつものメンバーにフロージとシュバルツを加えた8人で遊ぶ約束をしている。
実はシュバルツ君に会うのも楽しみなのだ。
なんせ前回は人見知りが激しいらしく顔をはっきり見ることもできなかった。
今回こそは、全員で顔合わせだ!
と、気合もそこそこに会場に到着。すると大鍋を囲んでいた大人達の中からひょこひょこと子供達が顔を出す。
「あ!カノイ様だ!」
「お誕生日おめでとうございます!カノイ様!」
「お誕生日おめでとうございます!弟様もご一緒ですね?」
「カノイ!おめでとさん!早いとこ遊ぼうぜ!」
「カノイ様!お待たせしました、これがうちの弟です!」
「か、のい様。おは、おはちゅにおめにかかります!シュバルツ・リーベンですっ!」
いつものメンバーに、緊張した面持ちの少年が一人加わる。
シュバルツ君、緊張はしているが礼儀正しくていい子だ。
うん、存分にかわいがろう。
そうと決まれば行動は早い。
シュバルツ君の頭をなでなでしながら答える。
「お初にお目にかかります。マークガーフ家長子のカノイです。そしてこちらが、」
「おはつにおめにかかります!フロージ・マークガーフ2さいです!」
「偉いぞ~フロージ。自己紹介できたね。」
「なんだろう、いつも以上にカノイ様が甘い。」
「あたしたちにも甘々だけど弟に対してはなんていうか、デレデレね。」
デレデレでもしょうがないのである!だってかわいいんだもん!
だもんて、自分はかわいくないのである。
かわいいといえば、弟分となったシュバルツ君、彼もなかなかにかわいい。
というか家の子達はみんなかわいい見た目をしている。
リボルは元気っ子という感じのかわいさがある、赤い髪に黄色のくりっとした目をしている。
ヴァイスとシュバルツ君はよく似ていて、金色のくせ毛がかわいらしい碧眼の美少年。
ファンはお洒落さんなのでカールしたピンクの髪を一つにまとめた赤眼の美少女。
トムはそんな姉とは違い短めに切りそろえられたマッシュヘアーのかわいこちゃん。
ジェイルとエイルは髪色がそれぞれ黄緑と深緑なこと以外はおそろいの紫眼。
グルートは水色の髪を短く散切りに切っていた気がする。
なかなかに色鮮やかである。
ちなみに私の髪色は紫。父と母の髪色が混ざったような色をしている。
目の色はなかなかに自慢できる。金と青色が何とも言えないコントラストを描いている。
これは肖像画とか書かされる人が面倒な目にあうこと請け合いだ!
正直自画像とかは描きたくない。やだー!
こんな感じでうちの子達は中性的な美人さんぞろいだ。
こればっかりは自慢させてほしい。
カノイ・マークガーフ、5歳、改めて身内の容姿の良さに酔いしれる春の出来事である。
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