魔王の懊悩

伊豆下田守ペリー

魔王の懊悩

魔王は懊悩する

彼の子飼いのコボルドの

3000ほどの精鋭部隊が

いまや危機に陥っていた

食料が糧食が絶えていた

輝く剣と重い棍棒も

振るう者なく地に転がる

3000の生命が

士気高い軍団が

飢えという絶望に飲まれている

賢く見えた魔王の右腕

魔界軍団最長老は

無策に無策を重ねていた

物資を運ぶ荷車も

荷車を引く獣も

とうとう集めて来られはしなかった

魔王の座を狙う野心を

隠す気もない大軍団長は

兵を集めて救いに行くも

その先には田畑が広がり

収穫期をひかえる

踏み荒らされたその地は

恵みを産むことは無かった

どんな奇跡があり得るのだ

斃れた骸が骨と変わり

腐臭と燐光に包まれる

目に浮かぶのは

そんな景色だ

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魔王の懊悩 伊豆下田守ペリー @Cairo_H

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