第31話 対人戦特殊部隊結成

 マスカリーナのギリギリ合格とセイント・クォーツの脱落を聞かされてから少し経った後、編成会場に試験官と国家の役員とも言える偉い人物がやってきた。


「そろそろ、始まるね……。」


 シャトリエーゼ先生によると『対人戦特殊部隊』と呼ばれるチームをこれから決めていくことになり、それが結成されて始めて討伐依頼に申し込めるようになるのだ。


 編成会場にやってくる試験官の長である長官がやってきて、舞台上の上で今回の組織討伐についての概要を説明し始める。

 説明内容は主に会場に集まった戦士で四つのグループに分けて、さらにその中の班でそれぞれのチームを作っていくとのこと。

 四つの班毎にどの拠点に行って戦うかは決まっている。

 私は関東地区南部担当のA班に選ばれたため、割と地元から近い場所が戦いの現場になった。


「やったぁ!! これは割と運があるかも!?」


 オランチアは比較的、本拠地に近い場所を攻め込むことになってしまったのだが討伐依頼が数ヶ月規模という長い期間をかけて行われるビッグイベントのため、会社の仕事をしながら依頼が来た時に魔法少女になって討伐することができる状況に内心は歓喜をしていた。


「あの、オランチアちゃん……? そこ本拠地から近くて危険な場所ですよ?」


 先生は最も危険な拠点殲滅に配属されて喜んでいる私を見て困惑をしていた。

 まあ、普通の人は命の危険を晒されてるのに喜ばないわな。


「ってか、私はB班だった。 オランチアとは同行できないな。」


 キリカは私たちに、B班に配属されたことを伝える。

 また、私の仲間が減ってしまった……。


「オランチア……。 一応、私あまり強くないと言われたのにA班の補欠になれたんだけど……。」


 舞台上で演説をしている途中で私の近くまで来てくれたマスカリーナが補欠という形でA班に所属決定。 補欠になった人は活動が限定されるため、あまり一緒に戦う機会がもらえないとのことだ。 悲しい……。


「ちなみに先生とアリシアさんはどの班ですか?」


「私はあなた方と同じA班ですわよ?」


「先生もA班ですね。」


 そうなると、実質的に都合のいい時にいつでも一緒に戦いに行ける人はアリシアさんだけなのかな。

 マスカリーナは補欠で限定された活動のみ可能、キリカは別の班、クォーツは不合格、先生は訓練員を優先。

 アリシアはオランチアの誘いとか関係無く、今回の組織討伐の依頼に参加する気でいた。


「あらぁ~ 私といつでも一緒に戦って下さる方はこのチームではあなただけですの? 少し残念ですわ~。」


 流石にこれから多くの人と協力しながら戦わないといけないというのに今まで戦ってきた友人や知り合いだけでやっていくのは無理がある。

 少しA班の他のチームやメンバーとも人間関係を広めていく必要があるようだ。


「そう言えば、そっちにも同じ班の仲間が沢山いるよねぇ。 少し見ていこうか。」


 私は周りを確認しながら、面白そうな人に声をかけようとした。



「あ? お前、確かあの時のっ!!」



「え?」


 後ろから声をかけられたオランチアは振り向く。

 そこにいたのはこの前に帰る時、一緒に戦ってくれた騎士――


「お前も参加してたんだな。」


「もしかしてガクト?」


 どうやら、彼もこの討伐隊の参加者だったようだ。

 これは頼もしい人物に出会えたぞ!!


「ねえ、もしかしてガクトのチームは編成終わってない?」


「まだチーム組まれてる最中かな。」


「もし、良かったら一緒にこっち来ない?」


「ごめん。 他のチームに入るか入らないかは先輩に権限があって、俺は決めることができないんだ。 ごめん。」


 なんだよぉそれ。 確かにそういう決まりだけどさぁ。

 そんな決まりよりも大切な仲間と一緒に行ける方が大事だろぉ。


「まあ、今回はちょっと難しいな。 いつかまた一緒に行ける日があったらお願いな!!」


 オランチアはそんなことで断られてしまったのだ。

 あぁ……。 せっかく、一緒に戦ってくれそうな人がまた見つかったのに……。 


 断られると誰かが勢いよくこっちに向かってきた。

 私がそれに気づいて顔を横に振り向いた時には既に自分のすぐそばにいた。


「ちょったぁぁぁぁあああああ待ちなぁぁぁああああああああああ」


 その姿はレインボーカラーのサングラスをかけたあの女性である。


「なっ、何者!?」


 彼は突然ドコニがやってきたことに困惑の表情を示す。

 まあ、私も内心同じ感情だけど……。


「実はよぉ。 お前さんのチームリーダーと今から話をしにこっちに来てたんだぁ。 こっちのチームメンバーがぁあまりにも少ねぇからよぉ。 良かったら来てもいいぜぇ。」


「え? 来てもいいぜ? そんな話になるのか!?」


 実際、私も困惑をしているがいつの間にか自分のメンバー表の中にガクトの名前が載せられている。


「え? いつの間にか別のチームメンバーになってるんですけどぉ!!」


 ガクトは困惑しながら、他のメンバーのところに行き、事情を聴き始めた。

 しかし、ガクトのチームリーダーであるサカトはドコニのチームに編成をした覚えはないとのこと。

 どうやら、自分の迷惑配信の出汁にするためにわざとからかった行為をしたらしい。


「うぅ……。 やめてよぉ……。 このおばさん……。」


 私もこの女の存在を少し忘れかけていた。

 自分のメンバーリーダーをこの女性にしたことはやはり失敗だった……。


 

――◆――


 現在のドコニチーム


 メインリーダー――

 ドコニ


 メンバー――

 シャトリエーゼ

 オランチア

 アリシア 


 補欠――

 マスカリーナ

 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る