第30話 編成会場にて

 魔法少女道場で今日も稽古を続けるオランチア。

 受付カウンターに来たついでに依頼の掲示板を漁る。

 次の良さそうな依頼を探していると近くにマスカリーナがいたので、この前の帰りの時のことを話してみた。


「えっ? オランチアちゃん大丈夫だったの?」


「うん。 ミャウっていう魔法少女のハサミステッキ本当に怖かったよぉ……。」


「魔法少女でも悪の組織に寝返った人もいるんだね。 それと、オランチア。 あの組織のことがニュースになってたよね。 いよいよ全面戦争が近づいてるよ。」


「う~ん。 会社の仕事が忙しくて最近はニュースすら見れないよぉ。」


「え? 会社? オランチアって社会人なの?」


「あっ、違うよ!! 違う!! 私のお父さんのことね!!」


「はえ?」


 あー また口を滑らせちゃった……。

 いつかただのおっさんってバレちゃいそうだなー。


「オランチアさん、グランドストリートの依頼のことで少し話しておきたいことがあったのですが、よろしいでしょうか。」


 オランチアとマスカリーナが会話をしていると組織の依頼の概要を伝えにシャトリエーゼ先生がやってきた。

 対人系の討伐依頼はマジカルネイションズセンターに行かなければ受けることができないことは聞いているが、他にも何か私に話しておきたいことがあるのだろうか。


「当日、依頼を受ける時にセンターの職員や他の強い先輩方との話し合いで班分けをすることになるそうです。」


「へぇ。 つまり、私自身がチームリーダーとなって一緒に戦う人を選ぶことができないとのことですか?」


「はい。 四級魔法少女は立場的に格下なので、誰と一緒に行くかを決める権利はありません。」


「ひゃん!!」


 えぇ……せっかく誰と行くか考えてたのに……。

 まあ、当日に私の知っている人を全員誘うつもりだけどね。



◇ ◇ ◇

 


 当日――


「今日は良い天気だね!!」


「そうだな。」


「それで……こ、こんなに人が集まってるけど、大丈夫……。」


「あらぁ……私もグラストの討伐依頼に参加しますのに、こんな人混みとは思いませんでしたわ。」


 呼ぶことができた人はマスカリーナ、キリカ、セイント・クォーツ、アリシア、シャトリエーゼ先生。


 一応、集められるメンバーは集めたつもりではあるが、それでも人数が少ない。

 団体のような大人数で出陣したかったなぁ。


「オランチアさん。 あそこの受付のところまで行きましょう。」


「分かりッ!」


 ギルドの中も人で混雑しているが、取り分けその中でも受け付けカウンター周辺は沢山の人が並んでいる。

 やはり、組織解体の依頼に参加者が群がっているのだろう。

 並んでるだけで一時間以上待たされたもののなんとか依頼の受付を終わらせる。


「あなたがオランチアさんですね。まず、あなた達に適性があるか少し試験で試させてもらいます。」


 受付の職員によるとまず、試験を受けて合格した後、いくつかの班に分かれるということだ。 思った以上に大変そう……。

 ネットで事前に試験が行われることは調べておいたが、試験の内容も難易度も不明である。

 恐らく、試験は簡単なものではなさそう……。

 気を引き締めていかないと!!



◇ ◇ ◇



 オランチアたちはそれぞれ一人ずつ分かれて、試験を受けることになった。

 試験内容は試験官の分身と戦い、三分以内に勝利を収めることであった。

 なんとか試験官の分身を倒し、合格すると次は適正検査や身元調査などが行われたが、それでもなんとか自分の正体がバレずに通過することができた。


「参加者256番のオランチアさん。 あなたは無事、合格になりましたので編成会場までお越しください。」


「はあ……。 思った以上に大変な試験だったぁ……。」


 私は職員に合格したことを告げられ、編成会場に行く許可を貰った。

 編成会場は思った以上に広い建物である。

 周りにある畳の部屋にはガタイの良い男性から可愛らしい女の子まで幅広い人達が居座っている。 やはり、ここの会場も多くの人で混み合っている。


「オランチアやっぱり、試験合格できたんだ。 良かった!!」


 私が少し、周りをうろうろとしていると試験に受かったキリカに声をかけられた。

 そして、そこから数分後シャトリエーゼ先生からLimeが届いたので、携帯でやり取りをしながら待ち合わせの場所までいった。


「オランチアちゃーん!! こっちこっちー!!」


 先生とアリシアが手を振って、オランチアに居場所をアピールする。

 オランチアもそれに気づいて、手を振ってそのまま二人の所に駆けつける。


「まだ会場来てない人はリーナとクォーツだけになりましたのよ。 リーナならすぐに来るとは思いましたが、少し遅いですわ。」


 アリシアがそう語ると、先生の携帯に連絡が来た。

 マスカリーナと百花の合否が出たそうだ。


「どうやら、マスカリーナちゃんも合格自体はなんとかできたそうです。 しかし、ギリギリとのことでメインメンバーにはできないとのこと。 そして、セイント・クォーツちゃんは不合格なので今回の依頼には参加できないということです。」


 あちゃ~ もう既に脱落者が出たかぁ~

 一体どの辺で落ちたのかなぁ。





 




 



 


 

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