第20話 マジカルネイションズセンターに行ってみよう!
今日は休日。
義弘にとって、久しぶりのお休みだったので気晴らしに何処か刺激のある体験のできる場所に行こうと考えていた。
「そう言えば俺、まだマジカルネイションズセンターに行ってなかった。」
マジカルネイションズセンターは正式な国家組織である公共の機関ではあるが、多くの戦士にとっての交流の場でもある。
それぞれの国の首都に一つしか存在しない場所であり、都心で暮らしている義弘にとっては、行こうと思えば休みの日に行ける場所なのである。
(まだ多くの人達と交流したわけでもない。 何か新しい出会いがあるかも?)
まだ見習いランクとは言え、躊躇して行かないのは何か勿体ない気がしてならない。
一応、行くだけならお金もかからないし俺は行ってみることにした。
◇ ◇ ◇
自分が通っていた大学よりも数倍は大きいであろう巨大な敷地。
巨大な門の先には近未来を想像させるような高く聳え立つビル。
その周辺には学校の校舎のような広い訓練所が多く設置されている。
そして、この位置からでも見えるくらい多くの戦士達がそこにいる。
「ほうわぁ~~ここがマジカルネイションズセンターか!! すっごー!!!」
「写真や動画で見ることはあったけど、実際の目で見ると改めて巨大施設なんだなって思い知らされるぅ!!」
義弘は目をキラキラさせながら、その巨大な建物を見つめる。
彼にとってそのくらい、マジカルネイションズセンターが神聖な場所に見えたのだ。
だが実を言うと、本当はまだ俺が物心も付かないような時に一度だけあそこに避難したことがあったらしい。
「俺の両親が戦争の時代に生まれたばかりの俺を抱いてあそこに避難したんだっけかな。」
まだディストリア戦争によって世界の命運をかけた世界大戦が人類側の勝利によって終わってから間のない時期であった。
自分たちの住む家も財産も失って、明日を生きるために困った人々を救う名目で建てられた施設がマジカルネイションズセンターの原点である。
「なんだかんだでそこから三十年近くの月日が経っているんだなぁ。 もう俺と同じかそれよりも下の世代にとっては過去の話かもしれないが。」
とりあえず、義弘は近くにある人がいないところを探し出してなんとか人にバレずに変身してマジカルネイションズセンターの門まで行った。
「あぁ……。 もう今度ここ来るときは初めから魔法少女の姿で来よう……。」
オランチアに変身した義弘は門の前にいる門番に話しかけてみた。
「あの……。 ここって、どうやったら通してもらえますか?」
「本人であることを証明する証拠と魔法少女登録書が必要です。」
魔法少女登録書は今日はカバンの中にしっかり入れてきた。
しかし、本人であることを確認する証拠というのはどんなものだろう。
「本人であることを証明するにはどうしたらよいでしょう?」
「君、情報によると風魔法と回復魔法が使えるようじゃないか。 まず、ウィンドアスプラッシュでも見せてもらえるかね。」
門番は近くにある的に向かって風魔法をあてるよう指示したので私は思いっきり、技を当てた
「オランチアウィンドアスプラッシュ!!」
「ほう。 中々やるではないか。 よし、本人であることの証明完了!」
門番はそう言うと、私を門をに通過させてくれた。
「やったー!!」
私は門を通過してセンターのビルの西側にある校舎のような建物に向かっていった。
携帯で公式サイトに書かれている地図案内を頼りに人との交流ができそうな場所を目指した。
「地図によると、この辺に全国最大級のギルドがあるということだけど、ここであっているのかな?」
私はすぐに近くの受付カウンターの職員に聞いてみた。
ここの職員はどうやら魔法少女道場の訓練員とは違い、若い女性で義弘が好きそうな服装をしている人以外にも男性の職員もいるようだ。
「まあ、魔法少女以外の戦士担当の人もいるだろうし、そうなるか……。」
とりあえず、オランチアはここの職員に良い交流ができるか尋ねてみた。
「すいません。 初めてマジカルネイションズセンターに来たものですが、ここではどのようなことができるでしょうか?」
「はい。 マジカルネイションズセンターにご来場したのは初めてとのことで、ここについて色々と知りたいということでよろしいでしょうか?」
「はいん!」
「では、説明します。 ここの受付カウンターのタブレットからは様々なチームと交流ができます。 例えば、この画面に『レッドサン須藤』というメンバーのリストがあるじゃないですか? このリストを選んでタッチするとこのチームが今、センターに滞在している場合、画面越しで会話ができます。」
「はいん。」
「そして、会話の中で今から直接会っても大丈夫ということになったらそのチームと合流して、それぞれの部屋で話し合いがまたできるという内容です。」
「ん~ ちょっと、説明書がありますか?」
「そうですね。 ルールの説明も一応、そのホームページに書いてあるので良かったらそれを頼りにしてやっていくのもありかもしれません。 とりあえず、一回試しに使ってみるのもありかも?」
私はすぐにタブレットを開き、自分に合ったチームを探すことにした。
「なんか自分に合ってそうなチームいればいいんだけど……。」
まず、最初に一から順番に画面をスライドさせて良さそうだと思ったチームは『フルーツバスケー』という名前のメンバーだ。
プロフィールには、[漫画やゲーム好きが多くて趣味が共通してる人いたらカモン!]と書かれていた。
「えへへ。 結構趣味が合いそう♪」
しかし、よく見るとメンバーは全員二級以上でメンバー8人のうち、全員男という組み合わせである。
つまり、熟練された男の戦士のチームであったという訳だ。
「しかも、チームリーダーおっさんじゃん!! イヤだー!!」
私はすぐに違うメンバーの募集リストを調べることにした。
「これ結構良さそうかも……。」
可愛らしい魔法少女のメンバー5人のチームを見つけた。
女の子5人の顔写真も義弘好みである。
「うっへ、可愛い♡」
さあ、ここのメンバー達はどのくらいの強さなのだろうか。
オランチアはペロりと舌を動かす。
可愛い女の子の友達ができることに期待をして胸の鼓動を高鳴らせる。
「おぉ!! これは!!」
なんと5人とも四級魔法少女である。
つまり、私と同じくらいの戦闘力ですぐに親しめるかも。
「よし! この子たちとこれから仲良くしよう!!」
早速、オランチアはこのチームに通信をしようと思った。
しかし、メンバー募集を電話しようとおもった時にあることに気づく。
「え?」
[カッコいいイケメン騎士募集中!! 私たち5人とも学校の友人同士なのでカッコ良くて強い騎士様についていきたいです♡]
これは恐らく、面食い女のチームなのだろうか。
オランチアはガッカリしてこのチームへの連絡は諦めた。
「う~ん。 なんか良いメンバーいないかなぁ……。」
オランチアは結構色々なところを調べたが入ってみたいチームは中々見つからなかった。
「なんかいいチームないかなぁ、ってあれ? この募集要項……。」
[十二人の子いませんか? 魔法少女になれるおじさん探してます。]
オランチアは少しこの言葉を見て、ドキッとした。
「これってもしかして、りんかちゃんが言ってた奴?」
私はこのチームを確認してみたが、メンバーは一人しかいないようだ。
しかも、具体的な活動は何をしているかと言った簡潔なプロフィールもない。
「顔写真もないし、なんかプロフィールも適当だし、なんだろうなぁ。」
とりあえず、さっきの職員に聞いてみたが「まあ、そう言ういい加減な募集もあるし、適当なのはほっといていいですよ。 十二人の子なんて言われても誰を集めてるかもあやふやなチームなのですから。」と言われた。
しかし、今ここで無視して大丈夫なのだろうか。
私は夢の中で他の子に合ってと頼まれている。
オランチアは少し怖くなったが、勇気を出してその募集をしているチームに電話をかけてみることにした。
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