第二章 魔法少女編成編
第13話 最初の討伐依頼
オランチアこと義弘は最初の依頼をこなすための備えをしていた。
「いやあ、思った以上に仲間が集まんなかったわぁ。 ごめんね。」
マスカリーナはオランチアに対して申し訳程度に謝ってきた。
実は依頼に応募するまでの間、仲の良い子にこの依頼について相談したらしいが、断れたという。
「実は、キリカがこの日に他の重要な依頼を申し込んでたなんて知らなかったんだよ。」
キリカはマスカリーナとよく一緒にいる子で身長が高く、キリッとした子だ。
三か月前に三級魔法少女に昇格をしており、それなりに強いとのことだ。
「ちなみに百花ちゃんはどうしたの?」
「あの子、あんまり戦闘向きの魔法少女じゃないんだよね。 仲間のサポートをできる魔動技を持っているんだけど、本人が戦うの怖がっちゃって連れていけないな。」
セイント・クォーツこと百花は相手の防御力を上げることのできる技を持っているが、本人は今の戦闘力に自信がないようだ。
オランチア的には一緒に参加してもらいたかったが、命の危険がある討伐依頼を無理矢理押し付けることはできなかった。
そんなことで結局、私に協力してくれる魔法少女はマスカリーナとちょうど今やって来た子だけだった。
今やって来た子はマスカリーナの先輩だとのことだ。
「今回の依頼はマスカリーナと新人と私で行くってことでよろしいかしら?」
先輩の魔法少女は、金髪のツインテールで少し目つきの悪そうな子だった……って……。
「うっ……リベアナ…………。」
先輩の魔法少女がリベアナと共通点のある特徴をしていたので、オランチアはリベアナのことを思い出してしまった。
「どうしたの? なんか顔色が悪いよ?」
マスカリーナはオランチアの心配をした。
先輩の魔法少女が持っていた武器も鎌だという偶然の一致とは言え、オランチアはあの時に痛い思いをしたことを忘れた訳ではない。
オランチアはあの時の事を思い出して、背筋がゾワッと凍え始めた。
「あっ……。 ごめん、ちょっと気を取り乱しちゃった。」
「これから戦うんだから、そんな弱気にならないで!!」
とりあえず、金髪の子と自己紹介をすることにした。
「僕はオランチア!! オレンジの魔法少女だよ♡」
「
(なんか名前まで少し似てるじゃん……この子に罪はないけど、嫌だなぁ。)
アリシアは砲撃魔法が使えて、接近戦の時は鎌を使った戦い方をするという。
中々強そうなので、見てみたい部分はある。
「ちなみにオランチアはどんな技を使えるの?」
アリシアは私に対して質問をした。
私は少し、動揺したが答えることにした。
「一応、シャトリエーゼ先生から風魔法とマジックボクシングを教わりました。」
「そこそこ頑張れそうだね。」
「そこそこって……。」
その後、私達は今夜戦う魔獣の詳細をもう一度、入念に調べてみた。
この魔獣は夜に獲物を捕らえるために狩りに動くとのことだ。
そのため、昼間に討伐しようと仕掛けてもすぐに逃げられてしまい、討伐は困難になってしまうのだ。
「この魔獣さ、ペコべロスって名前らしいよ! バカっぽい名前でウケる(クスス……。)」
「そう言えば、この犬みたいな魔獣は手下の群れを組んでる可能性があると聞きましたわよ。」
「できれば、オランチアちゃんは手下がいたらそっちの方をお願いね。」
マスカリーナとアリシアはオランチアに対して雑魚処理担当の役割を与えた。
オランチアは自分がチームリーダーとは言え、まだ見習いなので変なプライドは出さずにうんと頷いて二人の意見を受け入れた。
◇ ◇ ◇
それから、三人は現地に到着した後、周りに何かいないか警戒しながら探ることにした。
「こっちの方にあの魔獣の縄張りがあるという情報だけど、どう見ても森の中なんだよね……。」
現地の近くには郊外の森林がある。
森林は広大で迂闊に中に行ってしまったら、道に迷ってしまいそうなくらいの規模だ。
「おそらく、森の中にあの魔獣がいる。 周りに注意しながら森に入りますわよ。」
アリシアはあまり恐さを感じていないのか、割と冷静な対応を取る。
それなりの戦闘経験から来る余裕の態度だろう。
彼女は森に入って周りを確認すると、空を飛び始めた。
「私は空を飛ぶことはできますけど、飛んでると魔力の消費が早くなって疲れますの。 なので、私が何かを上から見つけましたら、合図を送るのですぐに対応してくださいましてよ。」
「OK!! さあ、オランチアちゃん一緒に魔獣をやっつけちゃお!!」
「よっし、僕の力を見せつけるよー!!」
五分程、空を飛ぶアリシアの後をついていきながら森の中を歩いていると、アリシアが私たちにすぐに聞こえるくらい大きい声で「出てきたわよ!」と叫んだ。
「何かいるって!!」
マスカリーナがオランチアの安全を心配して声をかけると、私の近くの木の影からカサカサと音を立てて、何かが飛び掛かってきた。
「うわぁっ!!」
私はすぐに後ろを向いてしまい、逃げ遅れてしまった――
「オランチアちゃん!!」
思いっきり右脚を嚙まれてしまった。 私を噛んでいる魔獣は狼のような容姿をしていた。
「痛ったあぁぁぁぁああああ!!」
私はすぐに魔法弾を顔面に向かって投げつけてやった。
魔獣は思いっきり魔法弾を喰らって血を流しながら退却していった。
「何が犬だよ!! 狼じゃねえか!!」
私はすぐに回復魔法を右脚に使い、痛みと傷を癒した。
「オランチアちゃん大丈夫?」
「うん……。 回復魔法をシャトリエーゼ先生から教わっておいて良かった……。」
一安心した二人であったが、周辺の草むらと木の陰から狼の魔獣が姿を現し、オランチア達を狙っている。
やはり、あの討伐依頼の狼は群れを組んでいた。
「こんな暗くて、戦いづらい森の中でも戦わなくてはいけないのか……。」
私とマスカリーナはすぐに構え、戦える姿勢を取った。
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