第27話:地元最高!

「こほん!それでは説明してさしあげますわ」


 マイスターがパンフレットに記載されているトーナメント表の一点を指差す。


「まずは優勝候補筆頭、東京代表の新橋高校ね」


 さすがに俺も知っているとこがでてきた。

 東京代表は新橋の高校とあって、TRF──タミヤレーシングファクトリーのお膝元であり、その恩恵をおおいに受けている。

 テレビなんかでも何度か紹介されている学校だ。


「2年連覇、今年は3連覇がかかってるから、本気で来てると思うわ」

「マジか、連覇してるって相当だろ?」

「えぇ。その中でも1年の頃からエースを務める3年の重田は現存するレーサーの中でも最速と謳われているわ」

「重田……?あいつも高校生だったのかよ、ヤベェな……」


 ルキがヤバいとか言うのは相当なことだ。


「ルキも知っているやつなのか?」

「ん、おぅ、何度か都内のレースで戦ったことあるぜ。オレがガチっても速度で勝ったことはないな。CO勝ちしか拾ったことないと思う」


 うちの部の最速が速度負けしてるって、どうやって勝てばいいんだ。


「ホエイルマシンなんだが、フロントが蝶番型のATバンパーでリアがアンカーのシステムだ。マシンの完成度もすごいがモーターから電池まで全部バケモンみたいな感じだと思う。優勝候補筆頭ってのも頷けるわ」

「重田以外にも同学年に加速帝と言われるレーサーもいるわ」

「Youtubeで見たことあるかもー、すっごく速かったよー」

「加速帝も同じ学校なのか……」


 Youtubeでも有名なレーサーでタミヤ公認のチャンピオンでもあり、世界を股にかけて戦っているとんでもない人物ーーそんなのも大会に出ているらしい。


「この2枚看板を倒せないと優勝は難しいわ」

「俺たちでやれるのか……」

「他にはどんな学校があるのー?」

「あとは愛知の良所高校、埼玉の鷹春学園、群馬の美池高校、このあたりも強豪校と言えるわ」

「あ、私たちはBリーグだから……決勝までは新橋高校とは当たらないみたいです」

「それだけが救いか……いやどこで当たろうが負けない気持ちで行かなきゃダメだよな」


 どんなやつが相手でも気持ちで負けたらダメだ、気合い入れて行かなければ。

 今日の大会はYoutubeでもストリーミング配信しているらしく、ショップのお姉さんも見ているとのことだ。

 ここで勝たなきゃ……どこで勝つ!?


「ジン、なんだかめちゃくちゃ気合い入ってるわね?」


 レイがにっと笑いかける。

 俺のお姉さんへの想いを見透かしているのだろうか。

 でも今はそんなことどうだっていい。

 目標はただひとつだ。


「レイ、勝つぞ!勝って勝って勝ちまくってやろうぜ!」

「うん!全国のレーサーたちにわたしたちのかわいさを見せつけるんだ!」

「あ、レイちゃん、目的が違います」

「冗談よ、そんな目で見ないでトモ……。わかってるって、町田宮高校のミニ四駆部がまだ健在であることを知らしめなきゃね!」

「ほいじゃ最初の相手ってどこの学校なのー?」


 えぇーっと、町田宮GHK……あった、Bリーグの初戦か、相手は……。


「ウチらやね」


ーーーーーーーーーー


解説:


・TRF

タミヤレーシングファクトリーはR/Cモデルによるレース活動を通じて品質世界一を目指す、ファクトリーレーシングチームのことだけど、ミニ四駆にも技術提携していたりします。

サイクロンマグナムやビートマグナムのTRFモデルなどが販売されています。

テツヤコムロレイブファクトリーとは関係ありませんw

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る