第25話 倒すなら大将
「”幻影分身”」
「お?」
目の前に複数の分身?
いや、確かあれは偽物だったハズ。
”幻影分身”は見かけが派手で見抜くのが難しいけど、スキルを使用した時に一瞬だけ本体が映る特徴がある。
だからさっき少しだけ光っていたヤツの動きを追えば……!!
「そこぉ!!」
「グホッ!?」
大正解。
スキルは万能じゃないんだよー?
『スキル:”デコイ”を習得しました』
お、やったぁ!!
新しいスキルだー、テンションあがる。
”デコイ”は一体だけ分身を出せて、レベルMAXだと意のままに操れるスキル。
どうやって使おうかな?
対人戦だと意外なところで活躍してたけど……
「「「おらああああああ!!」」」
「うおっ」
って相手も本気だ。
襲撃者を許すワケには行かないもんね。
よーし、僕も少し本気を出すぞー!!
「ほっ」
「あがっ!?」
大群になって攻めてきた盗賊達に向かって飛び込む。
そのまま一人の顔をガシッと鷲掴みにして、その場で逆立ち。
「”連続ファイア”!!」
そして回転しながら”ファイア”を周囲に撒き散らす。
高火力の炎が周囲を燃やし尽くし、盗賊達は次から次へと倒れていく。
「”シャドウステップ”」
「お?」
影の中から人?
中々面白いスキルを使うね。
ピンチに見えるけど完全に動きを見切っていたから全然問題はない。
「”ダークショット”」
「んぐっ!? め、目が……」
「そしてとーどめっ」
「がっ……」
飛び出してきた所をスキルで目潰しし、そのまま剣で突き刺した。
「”シャドウステップ”の最低ランクは……”ダークショット”だからコピーは反応しないか」
残念。
結構スキル取ったからなぁ。
今後新しく取得するのはちょっと大変かも。
(でもキリがないかも?)
盗賊一人一人はそんなに強くない。
現にオルル達も苦戦してる感じはないし。
ただ数というのは戦いにおいて重要で、長引けば長引くほど僕達は不利になっていく。
まとめて倒す方法はないかなー?
「あっ」
瓦礫の方から明らかに偉そうなヤツが見えた。
あれって盗賊ギルドマスターじゃない?
だったらアイツを倒せばかなり有利になるかも!!
「邪魔だからどいて!! ”ウィンドグラビティ”!!」
「「「うあああああああ!?」」」
周りにいた雑魚達を風と重力を合わせたスキルでまとめて吹き飛ばす。
よーし、道はできた。
これで目指すのは……!!
「ギルドマスター討ち取ったりー!!」
一気に加速してギルドマスターの方へと接近。
そしてマルチエッジに複数スキルを掛けて一気に斬り捨てようとした時だった。
「”ホロシャドウ”」
「あれ?」
攻撃が……すり抜けた?
「ギルドマスターに剣を向けるとは……小僧、中々肝が据わってるな」
「スリルとピンチは大好物だからねー」
なぁるほど。
ギルドマスターだけあって、一筋縄では行かない相手って事か。
ワクワクしてくるな〜!!
◇◇◇
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