第23話 死亡フラグ
「バカ野郎!! 俺の商品に触るんじゃねえ!!」
「うるせぇ!! バカ高い武器ばっか売りやがって!!」
「この店ごとぶっ潰してもいいんだぜ!?」
ガラの悪い連中が店を荒らす。
武器が高いとか、気に食わないとか、
大体はそういう理由。
この世界では当たり前の光景だ。
「俺ァ正当な金で運営している。てめぇらに文句言われる筋合いはないだろうが!!」
「ちっ……雑魚のくせに偉そうだなぁ!!」
「ぐほっ!?」
物申す店主にガラの悪い男からの拳が深く入る。
店主も腕には自信があったようだが、相手が意外にも強く太刀打ちできなかった。
「ここでは力が全てなんだ!! 正しいも間違いも関係ねえ……勝ったヤツだけが正義だ!!」
「クソッ……意外とつえぇじゃねぇか」
認めるしかない、こいつの強さを。
地面に拳を叩きつけながら、現状を悔やむばかり。
「まともな武器を用意しろ。今度はタダで貰ってやるからよぉー!!」
「ハハハハハッ!! 殺されないだけありがたいと思いなぁ!?」
「ちっくしょうがぁ……!!」
好き放題されてしまった武器屋の未来はどうなるか。
一つだけ分かっていることがある。
「ふーん、ふふーん♪」
あのガラの悪い男達が所属する盗賊ギルドがとんでもない目に合うという事だ。
◇◇◇
「エリザも自信満々になったねー。相手は盗賊ギルドだよ?」
「きっとリオがいてくれるからよ」
「そう? なんか好感度あがっちゃった?」
「そこそこね」
お、意外とあがってた。
女の子に好かれるとは思ってなかったから素直に嬉しい。
やる気でちゃうな〜!!
「けど見栄は張らないでね? アタシは素の方が好きだから」
「分かってる、というか僕に張れる見栄なんてないよ」
大袈裟に表現する事はあるかもだけど。
「あれ、ここじゃない?」
「んー? 確かにイカつい装飾の建物ね」
ってなんか話してたら着いたっぽい。
店主の言ってた通りイカつい……というか趣味が悪い建物だ。
紫や黒のトゲトゲした装飾に加えて、ペンキで塗られたようなカラフルなアートが壁一面に描かれている。
イタズラされてる?
本当にこれがかっこいいと思ってるの?
異世界人のセンスがイマイチよくわからない。
「ダッサい建物ね。孤児院の子供でももう少しマシなものを建てるわよ」
エリザもあれはおかしいと思うらしい。
異世界人共通のセンスじゃなくてよかった。
「あ、やっぱダサいんだ」
「あら、リオはあれがかっこいいと思ってたの?」
「んなわけないじゃん。さっさと壊すよ」
「はいはい……え?」
ま、全部壊せば問題なし!!
盗賊ギルドなんだし、ついでに全部壊して動けなくしちゃおう!!
「”マルチ……」
「え、ちょっと? まさか全部壊すつもりで来たの?」
「うん」
「……アンタを敵に回さなくてよかった」
何故か安心されてしまった。
頼もしいってことかな?
その割には呆れてるみたいだけど。
あ、エネルギーが溜まった。
そろそろぶっぱなすか。
えいっ。
「”シューティング”」
トリガーを引いた瞬間、ドォオオオオオンという轟音と共に盗賊ギルドの建物が消し飛んだ。
◇◇◇
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