第22話 武器屋のお悩み

「うっひゃあ、お金がこんなに!! 一生遊んで暮らせそう」


「一生は無理ね。盗られたら全部終わっちゃうし」


「夢がないなぁ」


 更に金貨の入った袋をジャラジャラさせながら眺める。

 この世界は治安が終わってるし、金持ちなんか最高の獲物だろうしね。

 ま、強くなれば何も問題ないか。


「おっ!! お前らがポイズンスネークを倒したのか!!」


「ん?」


 街中を歩いていると聞き覚えのある声が僕達を呼ぶ。

 武器屋の店主じゃん。


「そうだけど、もしかして依頼したのは?」


「俺だ俺!! ポイズンスネークの皮が欲しくて仕方がなかったんだ、ありがとな!!」


 店主が依頼者だったのか~

 変な所で繋がりがあるねぇ。

 

 あ、そうだ。

 前に言ってた約束を守ってもらおうかな?


「だったらポイズンスネークの牙とかで新しい武器でも作ってほしいけどー?」


「そいつは面白そうだな。が、ちょっと今立て込んでいてよ……」


 が、どうやらすぐに作れない事情があるらしい。


「盗賊ギルドに目ぇ付けられて動けないんだ。武器を安く作れ、他には売るな、俺達のもんだってな」


「あら、随分と厄介なとこに目を付けられたのね」


「俺は正当な値段でしか売らねぇって言っただけなんだがなぁ……」


 盗賊ギルド?

 そんな野蛮な組織まであるんだ。


 言われた内容から察するに、ヤクザみたいな組織だってわかる。

 まあ冒険者ギルドも野蛮で頭おかしい奴しかいないけど。


「そんなにヤバいの?」


「この国の兵士は仕事をしないでしょ? だから盗賊ギルドみたいなアウトロー連中が理不尽な脅しをかけたりするのよ」


「ふーん」


 つまりやりたい放題って事ね。

 中々大変そうなことに巻き込まれちゃって。

 店主も苦労してるね。


「それ解決出来たら何かいいことある?」


「え? まぁ……そこの嬢ちゃんと二人合わせて武器を作るとか?」


「なるほどなるほど」


 うーん、僕にあんまりメリットはない?

 ただ解決しないと僕にも武器を作ってくれなさそう……か。


「え、アタシも!? だったらやるしかないじゃない……ねっ♪」


「あー可愛い……というワケで場所を教えて」


「わか……ってお前ら正気か!? ギルドが相手だぞ!?」


 エリザが可愛くおねだりしてきたので方針が決まる。

 店主は僕達の行動に心配しているが何も問題はない。


「大丈夫だって。僕は強い方が燃えるからさ」


 危険な所でしょ?

 そんなスリル満点な場所、僕が見逃すわけないじゃん。

 むしろ楽しめそうだ。


「はぁ……冒険者ってのは中々イカれてるんだな」


「否定はしない」


「盗賊ギルド……クロウズはここの通りをずっと先に行った場所にある。明らかにイカつい装飾だから一発でわかるぜ」


「イカつい装飾ね……ありがと店主さん♪」


 なんだかんだで場所を教えてくれた店主に感謝しつつ、僕達は盗賊ギルドへ向かった。


◇◇◇


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