第14話 ダンジョンへGO
「やっほ♪ 結構早いじゃない」
「そういうエリザも早いよねぇ……人もほとんどいないし」
「早起きはなんちゃらの得、って言うじゃない。さ、早くクエストを見に行くわよ」
それ日本のことわざじゃ……なんで異世界人のエリザが知ってるの?
まあいっか、取り敢えず掲示板に貼られているクエストを見に行こう。
「おー、色々あるね」
「どれも高難易度ばかりだけどね。うわ、こんなの受ける人いないでしょ……」
「んー?」
エリザが苦い顔をしたクエストを見る。
ふむふむ、「火山付近に出現した火竜の討伐」か。
推奨は……Sランク!?
確かランクはS〜Eまであるから一番高いってことじゃん!!
「めっちゃ面白そうじゃん!! これにしない?」
「嫌よ!! わざわざ死ぬような真似しなくたっていいでしょ!?」
「ダメ?」
「ダメ!!」
僕はノリノリだった……が、エリザに拒否されてしまう。
前世ならドラゴンとか何回も戦ったのに。
やるならスリル満点で迫力のあるクエストがやりたいよね。
この世界のドラゴンがどんな姿なのか間近で見たいし。
「それにリオ、ランクはいくつ?」
「え? 始めたばかりだからDランクだけど……」
「スタートでDも中々飛び級してるわね……けど、これは推奨Sランクだから最低でも一個下のAランクはないと受注できないわ」
「なーんだ、残念」
一応ランクは制限はあるのね。
まあ命を投げ出す危険が減ると考えれば必要なルールか。
後のお楽しみということで、ドラゴン退治は一回置いておく。
「ちなみにエリザのランクは?」
「ふふん♪ アタシはね、最近Bランクに昇格したのよっ!!」
「「おおー」」
グイッと見せつけてきたのは冒険者証に記載されたエリザの名前とBランクの文字。
やっぱ強いんだなぁ。
ソロで大人数を相手にしてたから何となく察してはいたけど。
「でも私には勝てないと思う」
「喧嘩売ってる?」
「売ってない。事実を言ってるだけ」
「それを売ってるって言うのよっ!!」
「わー、助けてー」
ただオルルにとっては格下らしい。
バサバサと飛びながら煽るオルルに対して、エリザはムキになって飛びかかる。
が、元が素早いのと”ステルス”を駆使されて触れることすらできない。
「仲良しだね」
「仲良しじゃない!! ほら、リオも手頃なクエストを探しなさいよ!!」
「んー、どれにしよっかなぁ」
あんまりランクが高すぎるとエリザに怒られちゃうから止めておいて。
選ぶならC〜Bランク辺りかな?
僕のランクを考えるとDとかが妥当だろうけど、多分手応えがなくてつまんないと思う。
エリザもいるし多少は冒険しても許されるでしょ。
「お、これとか良さそう」
「「んー?」」
掲示板からピッと剥がした一枚のクエスト。
そのクエスト内容をくだらない争いをしていたオルルとエリザがじっくり見る。
「いいじゃない!! 報酬と難しさのバランスも最高ね♪」
「マスターの決めた事なら従う。後、そのモンスター美味しそう」
「おけ!! じゃあ受注するね!!」
満場一致で決まったことで早速選んだクエストを受付に持っていく。
その内容とは……
「推奨Bランク、ポイズンスネークの討伐ですね!! 少々お待ちください!!」
この世界に来て始めてのクエストが幕を開ける。
◇◇◇
「オルルー、ポイズンスネークは見つかったー?」
「まだー、洞窟に隠れてるのかも」
「そっかぁ……」
クエストを受注した後、僕達はポイズンスネークが生息しているダンジョンにやってきた。
このダンジョンは推定 B ランクのモンスターが生息しているらしく、中級冒険者がよく訪れるらしい。
後、ダンジョンは洞窟みたいな場所で中は狭い。
現実だと結構じめじめしてるんだね。
で、目的のポイズンスネークも前世でよく戦っていたから特徴は分かっている。
だからすぐ見つかると思っていたんだけど……
「誰もいないなあ、早くモンスターと戦いたいのに」
「戦闘狂すぎでしょ。それにポイズンスネークは物影に隠れて獲物をじっと待つ習性なの。見つけるだけでも苦労するんだから」
「エリザは戦ったことがあるの?」
「何回かね」
じゃあ歩きながら待つしかないか。
一応オルルが”ステルス”を使いながら探しているけど、この感じだと長期戦になりそう。
だだ歩くだけっていうのも飽きる。
せめて モンスターの一体や二体現れてもいいのに。
タッタッタ……
「グゥウウウウ!!」
「っ!! ポイズンウルフじゃない!! 気をつけて、こいつの牙は猛毒で……」
「”サンダー”」
「へ?」
バリバリバリィ!!
エリザが説明し終わる前に、僕はスキルを放った。
強力な電流がポイズンウルフの全身に襲いかかり、一瞬で黒焦げにしてしまう。
「あっ、スキル見るの忘れてた!! いつもの癖でポイズンウルフに先制攻撃を……あーあ」
ポイズンウルフの攻撃はかすっただけでも毒になるから、ゲームだと現れた瞬間に倒すのが セオリー。
何百回と相手にしてきたから、考えるより先に手を出してしまった。
けど、スキルを見てから倒しても良かったじゃん。
次会えるのはいつになるかなぁ?
「魔石回収しよ……はぁ」
「え、ポイズンウルフを? Bランクのモンスターを一瞬で!?」
「ポイズンウルフはウザイけど耐久力はそんなにないからね。先制攻撃さえ決めてしまえばこっちのものだよ」
「そういう問題じゃないでしょ……」
多分エリザの攻撃だったらポイズンウルフくらいどうにでもなると思うけど、違うのかな?
「ねぇ、リオのスキルって何なの?」
「僕? あぁ、そういえば言ってなかったね」
エリザのスキルは説明不要だから聞いていなかった。
けど、エリザは僕のスキルをハッキリとした形で見たことはない。
いい機会だしここで説明しておこう。
「僕は”スキルコピー”だよ」
「スキル……コピー?」
聞いたこともないと言った顔。
そういえばゲームだとレアスキル扱いだったっけ?
巻物とか転生システムのせいで、スキルのレア度が無いに等しい状態だったけど。
ただ現実と化したこの世界では、そんな便利な代物はないらしい。
「……結構歩いたし、ここら辺で休憩しましょう」
「え? う、うん」
急に切り出された休憩。
確かに結構歩いたし丁度いい時間だとは思うけど。
「後、”スキルコピー”について色々聞かせて」
「いいよ?」
エリザの顔がちょっと怖い。
まるで未知の怪物に会った時のような、そんな感じ。
怖くないスキルだよ。
ぶっ壊れスキルだけど。
身体は休まるけど心は休まらない不思議な時間がダンジョン内で始まった。
◇◇◇
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m(_ _)m
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