春の電車の思い出
デッソ(Dexo)
列車1号: あの日の列車
「D368Eは修理され、2025年1月29日に再稼働します。」
その知らせを知った時、なぜか私は微笑んでいた。もしかして、彼女が恋しいからだろうか? しかし、すぐにそれを否定した。彼女は幽霊だし、もう死んでいて、私とは何の関係もない。二人はただの他人で、ここで知り合っただけ。そして、私が彼女を唯一見ることができる人だっただけだ。
全てが終わった。犯人たちは捕まり、それぞれ終身刑や死刑を宣告された。彼女の家族もサイゴンで遺骨を受け取り、ちゃんと埋葬された。彼女が成し遂げられなかったことも、私が代わりに実現させた。ただ一つ、私が叶えられなかった願いがあった。
2025年1月1日、新年の最初の日差しが静かな駅を優しく照らした。私はゆっくりと馴染みのある廊下を歩きながら、今日のダイヤが運休だと確認し、心が軽くなった。一瞬の平穏な時間だ。小さなマカロンを手に持ち、線路沿いを北に向かって歩き始めた。
道中、柔らかな風を感じながら、彼女と過ごした一年間の馴染み深い景色を思い返していた。風とその景色は、どこか切ない気持ちを呼び起こした。一時間後、私はついにドンカー橋のふもとに着き、川を逆流して進んだ。
ようやく辿り着いたそこには、彼女が私に植えるよう頼んだ小さな木があった。その木の下には小さな岩の上に置かれた香炉があり、木の枝には「グエン・アン・リン」と書かれた小さな看板が吊るされていた。私はその場所に近づき、石の上にマカロンを置き、線香を灯した。そして、隣の石に腰を下ろした。
目の前のマカロンを見つめながら、彼女が私に供えるよう頼んだ、それも私自身が作ったものだと思い返す。なぜ自分がこんな馬鹿げたことをしているのかと思った。
線香が消えた。私は石の場所に戻り、一つ一つマカロンを口に入れて食べ尽くした。ひとつ、またひとつ……。食べ終わった時、彼女の言葉を思い出した。
「マカロンを一つ食べれば、忘れたいことを全部忘れられるよ!」
― 嘘だ!
嘘だ。どうして食べても君のことを忘れられないのか、君に関する思い出を忘れられないのか。この数ヶ月、私はその記憶を過去に閉じ込めたつもりだったが、君に関することは私の中で消えることのない一部なのだろう。
目の前の川は流れ、風は髪を乱して吹き抜けていく。時が経っても、君への愛と想いはずっと残り続けるだろう。多分、私は君のことを一生忘れることができない。
ポケットから紙切れが落ちた。それを拾い上げると、それこそが私が君を忘れられない理由だった。くしゃくしゃになった紙切れを開くと、そこには同じ言葉が書かれていた。
「あなたをとても愛しています。生涯、あなたと一緒にいたい!」
私はその紙を長く見つめた後、空を見上げた。
― 僕も君を愛している、そして、君をとても恋しく思うよ!
春の電車の思い出 デッソ(Dexo) @adamon80
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