第2話 人気なキャラには癖がある

「にしても可愛い女の子ばっかり」

「同世代の女子にこんなの見せるとか恥ずかしく無い訳?」


部屋のソファで紅茶をすすり寛ぎながら不満を隠さず漏らす。


本来なら本音で話し合える仲とゆうのは素晴らしいことだが、僕と彼女はその限りでは無い。


「これでも卑猥な可能性のあるキャラクターやゲームは大分しまったんだけど」


「これで?」


彼女は改めて部屋を見渡す。


8畳ほどの部屋にはパソコンに本棚、アニメのフィギュアに抱き枕が所狭しと並べられていた。


彼女の座るソファの前には机とテレビがありなかなかの狭さだ。


「まあこんな奴の家に来た私も私よね」


ため息をつくと軽くうなだれる。


「仕方無いだろ、まずはたくさんの人気のあるアニメキャラについて勉強しなきゃいけないからな」

「俺の家ならこの時間は親も居ないし、資料も読み放題見放題だ」


「だからっていきなり仲も良くない女子を家に普通は誘わないの」


「じゃあファミレスで俺と一緒にいる所を他の奴に見られても良いのか?」


「それは死んでも嫌!」


「さすがに好意とか無くても女子にそう言われると以外とキツイな」


面と向かってこんな事を言うとか人の心とか無いのだろうか。

別に他人にどう思われようと気にしないようにしていたけど心が痛む。


「なら普段からもうちょっと馴染もうとしなさいよ」


俺の普段の学校生活は殆どの時間が読書タイムに当てられていた。

たまに話すのはオタク友達と作品の感想を交換する時と業務連絡くらいだ。


「読書の時間が減るからやだ」


「つくづくムカつくわね、こいつをどうにか出来ないかしら」


「無理だよ、生まれつきだ諦めてくれ」


「じゃあこうしましょう」

「一つ相手の要求を叶えるたびに一つ相手の要求を叶える」


「は?」


唐突なも要求に思わず間抜け声が漏れる。


「大体にして今回私ばっかり嫌な思いをして不公平じゃん」


「いや、嫌な思いってお前をモテさせるのに嫌な思いも無いだろ?」


「あんたのその幼稚な趣味に付き合って上げるんだもん、そっちもやらないと不公平じゃん」


「それは確かにそうかも…?」


「そうなの!」

「条件はお互いに話しあいね」


勝手にいろいろルールが決められて行くのは不満だが、まあどちらにとっても公平な感じはする。


「分かったよ」

「それで俺には何をして欲しいんだ?」


「んー、それは今日帰るまでに考えておく」


「無茶苦茶なのは辞めてくれよ?」


「そんなことしないわよ、あんたじゃあるまいし」


「いつ僕が無茶苦茶したんだよ」


「文化祭でおすすめアニメベスト100をずっと解説付で1人で休まず上映し続けたのはだいぶ有名よ?」


「それの何が無茶苦茶なんだ?」


「無茶苦茶よ。文化祭なんだからもっと友達どうしで展示見て回って遊んで来なさい」

「それにあんな時間飲まず食わずで休まずに3日続けるとかどうかしてるわ」


「確かにあれは無茶なことやったと思うよ」

「文化祭回ろうかは実際かなり悩んだんだ」


様々な作品で描かれる文化祭のシーンが実際はどんな物かは実際凄く気になってはいたが、どうしてもみんながこれから先、あの不朽の名作の面白さを知らないで生きて行くのは不憫に思えてしまった。


「くっ、あの時にもう一度戻れたら!」

「メイドカフェにお化け屋敷、バンドのライブに部活動展示全てを見て周りたい」


「少し偏ったいる気がするけどやっと人らしい一面が見れた気がするわ」


「いままで僕をなんだと思ってたんだよ」


少し首をひねって考えると絞り出すように答える。


「UMA(ユーマ)?」


「なんで同じクラスと委員会一年いて、担当の曜日も一緒なのに未確認生物の扱いされなきゃいけいんだよ」


「ま、そんなのはいいから早く物語から現実でモテモテになる方法教えなさいよ」

「どうせ無理だろうけど」


そんなのって。

なんだろう自覚無いだけでクラスのみんなって僕の扱い結構こんな感じなのかな。


時計を見ると確かに時刻も夕方に近づき、そらも少し赤くなり始めていた。


「じゃあ早速説明を初めて行こうか」


彼女とテーブルを挟んだテレビの横の所にキャスターの付いているイスを持って行き、こほんと咳払いする。


「まずこちらをご覧ください」


テレビにここ数年の人気な女性アニメキャラをばっと映す。


彼女はじっと見つめる。


「何か分かることはありますか?」


「みんな同じ顔?」


「惜しい気がするけどちげぇよ!んで良く見ろみんな違うだろ!」


「えー同じでしょ」


思わずこの場で勉強会を打ち切ろうかと思ったが、なかなかこんな機会は無いのとアイドルにも同じ感想を抱いたことがあったので今回は流す。


「正解は優しそうで清楚な外見をしてるでした」


「確かにどの子も優しそうで、清楚な雰囲気あるかも」

「あ、でもこの子とか金髪だし結構怖くない?」


「その子はのちに、ツンデレで実は優しいって分かったしどんな場合でも外れ値はある」

「アイドルグループだって一番人気に全部の評が行くわけじゃないだろ」


「確かに」

「後ツンデレってなに?」


「今回は多くの人にモテる必要があるから、大多数の人に好かれる必要がある」

「あとやっぱりさっきも触れたけど性格だな、ギャップ萌えはハマるとでかいが諸刃の剣だ」

「今回はなんでも話を聞いてくれて楽しんでくれて、誰にでも平等に優しいそんな女の子を目指す」


「そんな女の子いないわよ」

「あとツンデレってなに?」


「だから白石がなるんだよ」

「あとしっかり系よりゆるふわ系の方がなお良しだな、とりあえず髪色をしっかりした黒にしてロングまで伸ばそう」


「女が髪型を変えるのはそんな簡単な話じゃ無いしそろそろ良いわよね?」


そういうと近くにあったフィギュアの一体に手を伸ばす。


「ごめんなさい調子のりました」

「あと後でちゃんとゆっくりアニメを見せて説明させて頂くのでどうかお許し頂け無いでしょか」


「そろそろ紅茶とお菓子が無くなりそうね」


意地悪い笑をこちらに向けるが今の僕に出来ることは一つだ。


「すぐにお持ちします!」


僕はメロスの如く急いで台所に走った。


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クラスの嫌いな女子を学校で1番モテる女子にする方法 @Contract

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