第5話 先輩の凄いライブ

 その後は係を決めたりした。そしたらあっという間に四時間目になっていた。この高校では新入生歓迎会に部活紹介をする。それぞれの部活が出し物をして、新入生に部活の雰囲気を伝えるのだ。軽音楽部のライブはダンス部の後、吹奏楽部の前になる。

「楽しみだね!」

 目が輝きで満ちているのは島矢さんである。

「そうだね」

 少し返事は適当だが、だいたいこれでいいだろう。

 この高校、私立春葉高等学校は部活動が盛んで、東京の真ん中らへんにあり、校則が少し変わっている。生徒数は総1000人を超え、校庭は狭いが教室はたくさんあるため放課後は吹奏楽部、軽音楽部が1部の教室を使って練習をしている。

 「始まるね…」

 いつの間にか軽音楽部の番になっていた。

「1年の皆さんはじめまして!軽音楽部部長の宮谷です!今日はオーディションで勝ち残った3バンドでライブをします!まずは私がギターボーカルを担当してます。〈ポラリズ〉です!オリジナル曲2曲やります!」

 ポラリズのライブが始まった。体育館の照明が消える。そして体育館はまばゆい煌めきに包まれる。体が震えた。僕は自分の人生でこれまでにライブというものに行ったことがなかった。こんなにすごいものなのかと思って横を見ると青木さんは固まっていた。どうやら僕と同じらしい。島矢さんは、もちろん笑顔である。その後はあっという間にライブが終わった。


 そして新入生歓迎会が終わった放課後、僕はライブ後の余韻と共に帰ろうとすると島矢さんに話しかけられた。

「どうだったライブ?軽音部入りたくなった?」

 いつもより明るい声だ。ライブに相当感動したらしい。教室に戻るときはずっとライブの感想を言っていた。

「少し考えてみるよ」

 僕はそう答えると、教室の外で待ってもらっているいつものメンバーと共に学校をでた。

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