第2話 いつものメンバーで

 自己紹介後の放課後、昼に終わるからとみんなが嬉々としている中ぼーっと椅子にかかっていると声をかけられた。

「またぼーっとしているのか?相変わらず覇気がないな。」

「いつもこんなだよね。今日はちゃんと寝てきたの?」

 少し驚きながらもいつも聞く声に安心する。

 わざわざ覇気がないと言ってきたのは、幼馴染である悠斗である。身長が高く178cmになったらしい。高校生になって髪を金色にしていてイメージが大きく変わっている。この高校が校則が緩いからといって髪を染めてきたときは驚いた。高校デビューってやつだろうか。そして心配してきた方は中学の時からのクラスメイトである望結である。なんと今年で3年連続でクラスが同じだ。中学の時は色々と助けられた。 

「今日はちゃんと寝てきたよ。でも少し緊張しててね。今はすぐに帰りたい気分…」

 そう返事すると2人は笑いだし、望結は

「ナツらしいね!今日から高校生だよ。シャキッとしないと!」

 また高校生活が始まったことを実感しながらも僕は席を立った。

「一緒に帰ろう。」

 学校から家までは電車と自転車を使って約30分である。2人とは中学も一緒だったこともあり、家が近く、悠斗とはいつも一緒に帰っていた。

「高校ではどの部活はいるの?」

 望結が言うと悠斗は

「俺は吹奏楽部に入るつもりだ。望結は?」

「私も吹奏楽部だよ。」

 その返事の通り2人とも吹奏楽系学生である。中学生ときから吹奏楽部に入っていて、悠斗は意外なことに小学生の時までピアノを習っていた。望結は楽器は中学生のときから始めて、今はホルンをしている。ちなみに僕は卓球部に入っていた。のんびりとした雰囲気の部活でいつも大変そうだった2人の吹奏楽部とは真逆の部活だったのである。

「夏輝は?」

 2人の声が重なる

「まったく考えてなかったや。別に帰宅部でもいいかな…」

 そう返事すると悠斗は

「せっかく高校生になったんだ。部活はしたほうがいいんじゃないか?吹奏楽部とかはどうだ?」

「吹奏楽部はいいかな、僕は人間関係とか苦手だし…」

 悠斗がため息をした。そんな諦めた目で見ないでほしい。

「ナツがしたい部活をすればいいと思うよ。」

 望結が優しい声で言う。どうやら部活をしない選択肢はないらしい。

 部活のことを考えないといけないなと思いながらも緊張で疲れた僕は結局何も考えずに1日を終え、次の日が始まった。

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