アレックスの怒り6
ライオン男は確かにアレックスが殺した。だが死体は消えていた。考えられる事は、ライオン男の仲間がライオン男を回収したか、それともライオン男が復活して、凶器を持ってその場を立ち去ったかのどちらかだ。
アレックスはライオン男は生きていて、再びアレックスを殺しにやってくるであろうと確信めいた予感を持った。
アレックスは自宅のアパートに帰ってから、自身の手に突然斧が握られていた事を何度も思い出していた。
ライオン男に激しい殺意が湧いた瞬間、アレックスは確かに斧という武器を手に入れたのだ。
アレックスは何度も何度も記憶を反すうした。あの事件を思い出す事はとても辛い事だが、生き返ったとされるライオン男をもう一度殺すためには武器は不可欠だ。
アレックスは何度も何度も悲惨なサラの姿を思い起こし、ライオン男への怒りを新たにした。その時アレックスの身体にある変化が起きた。
ライオン男と対じした時と同じ、震えるような感覚。その感覚の直後、アレックスは右手に斧を持っていた。
どうやらアレックスは何も無いところから物体を取り出す事ができるようだ。何故こうなってしまったのかはわからないが、アレックスのこの能力は、ライオン男を倒すために不可欠だ。
アレックスは斧だけではなく、様々な物を作り出そうとした。だが作れたのは、斧と包丁、小さなナイフだけだった。
アレックスは自らが作った武器を仔細に観察して、ある事に気がついた。斧はロッジでアレックスが使った物だ。そして作り出した包丁もナイフも、すべてアレックスの自宅にある物だ。
アレックスはある仮説を立てた。この能力は、アレックスが触れた物を作り出す事ができるのではないか。ならば斧よりも攻撃力の高い武器が作れるようにならなければいけない。
アレックスは即座に行動に移した。射撃訓練場に行き、じかにハンドガンの撃ち方を学んだ。
アレックスが選んだのはベレッタ。訓練場のスタッフから指導を受け、実際に撃ってみた。発砲直後、手には激しい反動を感じた。
目の前の的を見てみたら、アレックスの銃弾はあさっての方向にそれていた。これは地道な訓練が必要だ。
アレックスは持ち時間いっぱいハンドガンを撃つと、自宅に帰った。アパートに帰りつき、水を一杯飲んでから、アレックスは精神を集中させた。
何も無いところから斧を取り出す要領で。ぶるりと身体が震える。右手にはハンドガンが握られていた。成功だ。
アレックスは左手を強く握りしめた。すると手の中にはマガジンが握られていた。これで銃弾の心配はなくなった。アレックスは人気の無い森の中でひたすら拳銃の練習を続けた。
アレックスが作れる武器は、ハンドガンにはとどまらず、ショットガン、ライフルまでおよんだ。
武器だけではいけないと、体術も学んだ。生活するには資金も必要だ。アレックスは仕事と鍛錬にひたすらあけくれた。それも憎いライオン男を確実に殺すためだ。
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