レイチェルの告白3
エイミーはベッドに座った途端、顔を下に向けて黙ってしまった。レイチェルは心配になってエイミーに声をかけた。
「エイミー?どうしたの?」
「レイチェル、ごめんなさい」
「えっ?どうしたの?エイミー、急に」
「これはリンダの罠だったんだわ。リンダはレイチェルにライバル心燃やしてるから。レイチェルがマイケルの事気になっているのを知って、マイケルに言い寄ったんだわ」
「エイミー、私は気にしてなんかないわ。それに、マイケルの事なんてもう気にしてない。リンダを選ぶ男なんて、大した奴じゃないし」
エイミーはやっと顔をあげたかと思うと、レイチェルに向き直って叫ぶように言った。
「そうよ!マイケルなんて大した奴じゃない。あんな男、リンダにくれてやればいいのよ!レイチェルの彼氏はもっとかっこよくなくっちゃ!それにね、リンダよりレイチェルの方がずっとずっと美人なんだからね!」
「う、うん。ありがとう」
レイチェルは自分が美人だとは思っていなかった。自分の顔は客観的に判断できないのだ。だがエイミーの容姿は批評できる。エイミーは小柄で愛くるしい子リスのような女の子だった。レイチェルはエイミーとは同い年だけど、彼女の事を妹のように可愛いと思っていた。
エイミーは少し怒ったような顔になって言った。
「あ、レイチェルわかってないな!レイチェルは本当に綺麗なんだからね!リンダなんか問題にならないくらい!それにぃ、」
そこでエイミーはニヤリと笑ってレイチェルに飛びかかってきた。エイミーはレイチェルの脇に手を滑りこませると、こちょこちょとくすぐり始めた。
「キャハハっ!ちょっとやめてよエイミー!」
エイミーはレイチェルの身体の上に乗っかると、レイチェルの胸に顔をうずめてから言った。
「レイチェル、オッパイも大きいよね!リンダなんかペチャパイだよ!」
「もう、エイミーったら」
レイチェルは苦笑してからエイミーのサラサラの髪の毛を撫でた。エイミーはレイチェルの胸に顔をうずめながら嬉しそうに鼻をすんと鳴らした。
レイチェルとエイミーは、学校内で付き合っているのではないかとウワサされている。それだけいつも一緒にいるからだ。もちろんレイチェルとエイミーは恋人なんかじゃない。レイチェルとエイミーは親友だ。
レイチェルは予感がするのだ。きっとレイチェルとエイミーに恋人ができても、結婚しても、おばあちゃんになっても、ずっと親友でいられると。
レイチェルとエイミーは境遇が似ているのだ。レイチェルは天涯孤独だし、エイミーの両親は離婚して、彼女は母方の祖父母に育てられたのだ。
優しかったエイミーの祖父母は、エイミーがハイスクールに入学する前に相次いで亡くなった。エイミーは入学を機に、レイチェルと同じ寮に入った。その時以来の親友なのだ。
レイチェルはエイミーの頭を撫でながら言った。
「エイミー。私、エイミーがいてくれたらそれでいいの」
エイミーはのっそりと起き上がるとレイチェルの目をじっと見てから、再びレイチェルの胸に顔をうずめ、つぶやくように言った。
「レイチェル。私たちはずっと友達よ?彼氏ができても、結婚しても、おばあちゃんになっても」
「うん。約束よ」
レイチェルはエイミーが自分と同じ気持ちでいてくれる事を嬉しく思った。
レイチェルはエイミーの温かな体温を感じて、何だか眠たくなってきた。エイミーもレイチェルの身体の上から動かない。レイチェルがこのまま寝てしまってもよいかと思いウトウトしていると、突然かなぎり声の悲鳴が聞こえた。
続いてガラスの割れる激しい音。男たちの怒声。レイチェルの上で規則正しい寝息を立てていたエイミーが機嫌悪そうに起きた。
「もう、何なのよ!うるさいなぁ」
「ほんとね。騒ぐにしてももうちょっと静かにしてほしいわね?」
エイミーのぼやきにレイチェルも続く。しばらく経っても騒ぎがおさまらないので、レイチェルとエイミーは様子を見に行く事にした。
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