第7話

「三花。多分,屋上の方に敵が集まっている感覚がする。仲間たちは…体育館倉庫だ。けど…見張りがついてる」

様子を見に行ったけんたが戻ってきて報告する。

「うーん。じゃあ,難しいか…」

三花たちは困った顔でみんなと顔を見合わせる。

「どうする?」

「あ!そうだ!」

真帆子が何か思いついたように顔を輝かせた。

「どうしたの。真帆子」

「あたしの能力!透明になればいいんだよ!」

「あっ‼︎」

真帆子の言葉に,三花たちは顔を見合わせた。


「よし!これで見えてないね!」

三花は透明になった自分の姿をまじまじと見つめた。

「よし。オッケー。それじゃあ,まずは体育館倉庫の方を見て行こっか」

「うん!」

三花は自分のポケットをギュッと握った。

そこには,大吉と書かれたおみくじが入っている。

(いざとなったら,私がみんなを助けないと…)

三花はおみくじを,さらに強く握りしめた。

「いた…あそこにいるのは…まりんだ」

体育館倉庫の前では,数人の星の子たちが倒れていた。

その星のこのエネルギーを,スターハンターたちが吸い取っている。

「ひどい…」

三花は思わず呟く。

声には出さなかったものの,みんな青白い顔で口元を押さえていた。

「早く助けないと!」

三花は走った。

「三花!待って!」

黄花の静止の声も聞こえずに,走った。

だが,その時。

「あぁっ!」

三花を透明にしていた透明マントが落ちて,三花の姿がはっきりと視えるようになってしまった。

「星の子だっ!」

スターハンターの声。

(やばい!捕まっちゃう!)

三花の方に見張りの手が伸びてくる。

三花の体は動かない。

「三花!」

もうだめだ!と思った瞬間,誰かに押されて,誰かのマントをかけられた。

その姿はまさしく−!

「黄花!」

三花は泣きそうな声で叫んだ。

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