第2話

「1限目は,宇宙についてです!前回の内容,覚えているかなーっ」

「はいはいはーいっ!ボクがいいまーすっ‼︎」

たくさんの手を上げた星の子の中でも特別目立つように,元気に手をあげたのは,もちろん黄花。

「じゃあ黄花!前回の内容をざっと言って!」

黄花は背筋をピンと伸ばして立ち上がる。

「はい!えーっと,宇宙はビックバンという爆発から生まれました。次回は太陽系惑星を見ていきましょうで終わってます!」

黄花は凛とした声でハキハキと話す。

話し終えたらにこっとかるくわらってせきについた。

「はい完璧!」

発表を終えた黄花に拍手が起こる。

「そうだねー!まず,太陽系惑星は,太陽の周りを回る星だよ!今日は4つ,覚えよう!そして太陽系惑星は,『すいきんちかもくどってんかい』で覚えれます。まず,最初!すいを言える人!」

「はい」

落ち着いた様子で手を上げる星の子。

「はいヒカリ!」

赤いカーディガンを羽織ったヒカリがたちあがった。

ヒカリは三花たちのクラスメートで赤いカーディガンに,茶味がかった髪。青い目が特徴的な男子だった。運動が得意でいつも明るい。

「まず,すいは水星です!」

「正解!じゃあまず,水星ってどんな星でしょう!」

先生が辺りを見渡す。すると1人だけ自信なさそうに手が上がった。

「じゃあ,朝光あさひ!」

クラスであまり目立たない,朝光だ。

朝光はすっと猫背のまま立ち上がった。

「はい…すすす,水星は表面温度が600度にも届くほどの高温の星です…」

かすかな声で喋る朝光。

「正解!そっか、朝光って水星出身か!」

「はい…」

朝光は俯きながら席についた。

「はい!というわけで,水星は表面温度がとても高い星です!」

先生の言葉でノートを取る。

「次は,きんはなんでしょう!」

「はい」

「じゃあかんな!」

 くるんとまいたツインテールを揺らしながら,かんなが立ち上がる。

「きんは,金星ですわ。金星とは,地球のすぐを回る惑星ですわですが,回る向きは逆ですのよ」

カッカッカ。ノートを取る音が響く。

「はい!次は,ち!」

「はい」

「じゃあ,しん!」

心が立ち上がる。心はなぜかヒカリを見てニッと笑った。

「ちはちきゅうです。地球は,太陽系3番目で,生物の住める星です。空気があります」

「正解!じゃあ,か!」

誰の手も上がらない。

先生はあたりを見渡して,1人の星の子で視線を止めた。

「あれれっ?優?あなた,出身火星よね?」

「ええと,じゃあぼくが…」

それぞれの星出身の星の子がどんどんこたえていく。

「よし!今日の授業はここまで!予習ページは109からでっす!よんどいてねー!」

そう言って先生は出て行った。

1日1限だけだから,もう授業は終わりだ。

ゾロゾロとクラスメイトが帰っていく。

そんな中,三花は辺りをキョロキョロ見渡して,黄花たち…いつものメンツに向かって手をあげた。

「ねぇ!みんな!帰りは公園行こーっ!」

みんなが頷いて,三花達は教室を出て行った。

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