第1話

「おーいっ!みんなーっ!!」

教室に,三花の声が響いた。

三花が走り出すと,二つ結びの髪型がふわりと揺れる。

三花は,優しくておっとりとした性格の星の子だ。

おうし座流星群で降ってきた,牡牛座・アルデバランの精霊。

能力では,大吉というものを持っている。

オレンジと緑のヘアピンが特徴的で,走るスピードが異様に早かった。

これはきっと,現在の闘牛と結びついている。

「あっ!三花!」

三花の声に,1人の美少女が振り向いた。パァッと花が咲くような笑顔。

クラス1の美少女・黄花だ。

黄花は元気で活発。運動神経抜群の星の子。

明るくて,クラスの人気者だ。

黄花は三花に走り寄る。

「おはよう三花!朝から元気だね!」

「黄花こそ!テンション高いね!」

黄花と三花の声に,2人の女の子が三花に走りよった。

そのうちの1人の女の子が腰に手を当てて少し怒り顔。

「遅いよ!三花!どうせ寝坊したんでしょ!もうちょっとで遅刻だよ!」

「うぐっ!」

しっかり者の真帆子に事実を言われる。

真帆子は大熊座の中のアルコルという星の精霊。

意味は,かすかなもの。

ぷくっと頬を膨らます真帆子の長い髪が,さらっと揺れた。

真帆子の指差した時計は,朝の会の10分前。

「ねぼうしたんだぁ。三花もうっかりさんだねぇ」

そう言ってピョンピョン笑ってるのは,子野葉だ。

子野葉がジャンプすると,高い位置で結んでいるツインテールがクルクル揺れた。

子野葉は大熊座のミザールという星で,締め付けるという意味がある。

真帆子と降ってきた日にちも時間も全く同じ。

2人はベストフレンドだ。

「子野葉も寝坊して,あたしに叩き起こされたじゃない」

真帆子は子野葉の頬をツンツンと突いた。

子野葉はエヘヘと笑う。

すると,教室の扉がカラッと開いた。

女の先生が教室に入ってくる。このクラスの担任だ。

「みんなー。授業が始まるよー!」

「はーい!」

先生の言葉に,ばらけていた生徒たちは一斉に席についた。



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