会議3
トグサはマックスの頭を優しく撫でてからパティに言った。
「パティ、これから私たちの魔法の訓練を頼んでいいか?」
トグサはパティたちが一緒にいる事を許してくれたのだ。パティは嬉しくなって元気よくうなずいた。トグサも小さく笑ってから、視線を盗賊の仲間だった商人のイエーリに向けて言った。
「その前に、聞き出せるだけの情報を知っておかないとな」
パティはコジモの手の上に乗っているアクアに、水防御ドームの解除をお願いした。パティたちは、ピンキーの風防御ドームに向かった。
ピンキーが風防御ドームを解除すると、馬車につながれている馬は目をつむって眠っているようだ。
パティは馬車の馬に近寄って、頬をなでた。馬は目を開いてパチパチとまばたきした。馬車の馬はこの戦いに関係ない。パティは馬車の馬を守らなければと思った。
コジモは自身の魔法で動きを止めているイエーリの前に立ちはだかって言った。
「動け」
それまで微動だにしなかったイエーリが、深いため息を吐いた。動きを止めているという事は、大変な事らしい。エリオが手に持った槍の穂先をイエーリののどに押し付けて聞いた。
「イエーリ。お前は盗賊たちの仲間なんだな」
「ふん、三流冒険者どもめ。さっきは攻撃力の無い魔法で盗賊たちを追っ払ったようだが、グリュウ盗賊団はすぐにお前たちを皆殺しに大勢でここにやってくるぞ。ああ、若い娘たちは生かしておいてやろう。二人とも高く売れそうだ」
イエーリはデイジーとパティをいやらしい目で見て言った。イエーリはデイジーを売ると言ったのだ。パティの大事な姉を。パティは怒りをはらんだ声でトグサに言った。
「トグサさん、もう大丈夫ですか?」
「ああ。グリュウ盗賊団の人数も統領の事も、いつ頃私たちに攻撃してくるかも把握した」
「わかりました。ピンキー、この人を気絶させて」
パティの肩に止まったピンキーがピピッと鳴いた。すると風のかたまりが発生して、イエーリの腹に思いっきり当たった。イエーリはグフゥといううめき声をあげて倒れた。
「これでイエーリさんは次の日まで起きません」
パティの厳しい声に、トグサたちは驚いた顔で、うんうんとうなずいた。
トグサはパティたちに食事と休養を取るようにうながした。これから寝ずに魔法の特訓をして、盗賊団との戦いをしなければいけない。
焚き火を焚いて、野菜と干し肉のスープを食べた。マックスたちは野菜と果物を食べ、馬車の馬にも水と野菜を食べさせた。
皆黙って食事をしている。トグサが銘々の食事が終わったのを見計らって口を開いた。
「これから私たちは、パティたちから魔法の特訓を受ける。限られた時間でどれほど我々が成長できるかはわからない。だがやらなければ私たちは確実に命を落とす。皆心してのぞもう」
パティたちは大きくうなずいた。
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