デイジー

 翌日パティは、マックスたちと果物で簡単な朝食をとってから冒険者協会へ向かった。朝早い事もあり、大通りの店はまだ開店準備中だった。


 これならばマックスとチャーミーが迷子になる事はないだろう。マックスとチャーミーには小さくならずにそのままでいてもらう。


 冒険者協会が始まる時間にはまだ早かったが、マイラが早く来ていたら申し訳ないと思ったので、パティたちは急いで冒険者協会に向かった。


 パティたちが冒険者協会に到着すると、二人の女性が立っていた。一人はマイラ、もう一人は剣を腰にさしていた。


「マイラ!おはようございます!」

「あらパティ、皆。早かったわね。紹介するわ、彼女は冒険者のデイジー」


 冒険者デイジーは褐色の肌をした美しい女性だった。パティは慌てて頭をさげて言った。


「デイジーさん、こんにちわ!私はパティです。この子はマックス、この子はチャーミー、この子はピンキー、そしてこの子はアクアです」


 パティはデイジーに自分の友達を紹介した。パティがショルダーバッグを開くと、アクアがひょっこり顔を出した。


「キャァ!皆可愛い!」


 デイジーはマックスとチャーミーを抱きしめてから、パティの肩に乗ったピンキーと、バッグの中のアクアにあいさつをしてくれた。


「マイラから聞いているわ。あたしの事もデイジーって呼んで?パティたちをあたしのパーティーに歓迎するわ」

「ありがとうございます!デイジー!」


 マイラは冒険者協会のカギを開けると、パティたちに入るよううながした。


 人気のない冒険者協会はひっそりとしていた。マイラは一枚の書類を持ってくると、パティの目の前に置いた。


「今回デイジーたちの依頼は、商人の馬車の護衛ね。王都からセテという大きな街に行くの。日数はかかるけど、比較的危険度の低い依頼ね」

「そうそう、あたしたちが受ける依頼は安全なものばかりよ。お金にはならないけど、命よりも大事なものはないからね」


 マイラのとなりに立ったデイジーがケラケラ笑いながら言った。冒険者の依頼とは、すべてが危険なものではないようだ。緊張していたパティはホッとした。


 マイラはパティに冒険者の依頼の選び方も教えてくれた。冒険者協会の壁側の棚にびっしりとファイルが並んでいる。このファイルすべてが王都の冒険者協会にきた依頼なのだという。


 ファイルにはナンバーがふってあって、一から百まである。パティは新人冒険者なので、レベル1から10までの依頼しか受けられない。今回デイジーたちの受けた依頼はレベル5の依頼だ。


 デイジーの冒険者レベルは25だが、あえてレベルの高い依頼は受けないらしい。


 デイジーはパティたちを仲間に会わせてくれるという。パティはマイラにあいさつをしてデイジーの後について行った。



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