支度

 パティは果物のお金を持ち、ピンキーを肩に乗せ、マックスたちにショルダーバッグに入ってもらい、冒険者協会に戻った。


 冒険者協会の通りで売っている旅人の日用品を購入するためだ。パティは最初にしっかりしたリュックサックを買った。次に野宿に必要なナイフ、小さな鍋、薄くて丈夫なまな板。スプーンとフォークにスープボウル。


 夜中に暖をとるための毛布。歩きやすいブーツ。丈夫な服とキュロット。風除けのための短めなフード。


 旅に必要な物や道具を買いそろえたら、お金はほとんど無くなってしまった。


 パティはフードを身につけて、リュックサックを背負い、大事な友達が入っているショルダーバッグを肩にかけると、ピンキーを呼んだ。お店の外で待っていたピンキーがパティの肩にとまる。


 パティは城下町を出て、近くの森に入った。お金が無いので宿屋に泊まる事はできない。パティは野宿できそうな場所を探した。


 ちょうど広い平地を見つけ、今日はここで野宿をする事に決めた。パティはショルダーバッグから小さなマックスとチャーミーを出すと、彼らは元の大きさに戻ってブルルと身体を震わせた。


 アクアは小さいのでそのままバッグに入っていてもらう。


 パティはマックスたちと手分けして焚き火にできそうな枯れ木を探した。枯れ木を積み上げるとマックスが火をつけてくれた。


 これから夕食作りだ。チャーミーにお願いして野菜を作ってもらう。トマトににんじん、じゃがいもだ。トマトとにんじんはチャーミーたちの晩ごはんにもなる。


 パティはアクアに野菜を洗ってもらうと、ナイフで野菜を切っていく。小さな鍋に水と野菜を入れて、焚き火の側で煮る。野菜に火が通ったら、城下町の食料品街で買った干し肉をちぎって入れ、塩コショウで味付けをした。


 やっと夕食が完成した。パティは鍋からスープボウルに野菜スープを入れた。パティの料理が終わるまで、マックスたちは食べるのをガマンしてくれていた。


「皆、お待たせ!じゃあ、いただきます」

「ワン」

「ニャッ」

「ピピッ」

「プクプク」


 パティが一人で作ったスープは、まぁまぁの出来だった。マックスたちはトマトやにんじんを生のまま美味しそうに食べている。


 食後にチャーミーがりんごを作ってくれた。パティはお腹がいっぱいになり、眠くなった。


 後片付けをした後、パティは毛布にくるまった。パティが寒くないように、マックスとチャーミーがくっついてくれる。パティが横になると、ピンキーがパティの上に乗った。パティはアクアが入っているバッグを胸に抱きながら空を見上げた。


 夜空には満天の星が輝いている。パティは見知らぬ土地で野宿をしても、ちっとも怖くなかった。パティには強くて頼りになる友達がいてくれるからだ。


 だが少しだけ寂しくもあった。パティを孫娘のように愛してくれている神父のジョナサンと初めて離れたからだ。


 パティは心の中でジョナサンにおやすみなさいとあいさつをして目を閉じた。

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