資金集め
マイラはパティに冒険者の依頼の説明も丁寧にしてくれた。
「パティは新人冒険者だから、最初は誰かとパーティーを組んで仕事をした方がいいかもね?」
「私みたいなのがパーティに入れてもらえるんでしょうか?」
「いきなりレベルの高いパーティーに参加するのは厳しいけど、私の友達がいるパーティーなら安全よ?」
マイラには友達の女剣士がいるそうだ。その女剣士が加入しているパーティーは、小さな依頼をコツコツとやっている冒険者たちらしい。
マイラは《ボイス》の魔法で友達の女剣士に連絡を取ってくれた。マイラがパティに笑顔で言った。
「私の魔法は一方通行だけど、友達に連絡を入れておいたから、明日の朝にでももう一度ここに来てくれれば詳しい説明ができるわ」
パティはマイラに礼を言って、明朝冒険者協会に来る約束をした。
パティは冒険者協会から出ると、大きく伸びをした。パティはついに冒険者になれたのだ。冒険に出発する前に、これから冒険者に必要な物をそろえなければいけい。
パティはショルダーバッグの中で丸くなっている小さなチャーミーに声をかけた。
「チャーミー、お願いしたい事があるの」
「ニャー」
チャーミーは元気よく返事をした。
「さぁさぁ!見て行ってください!さっき採れたばかりの甘い果物ですよ?!」
パティは元気な声で道ゆく旅人に声をかけた。パティの目の前には、布上に置かれたたくさんの果物か積み上がっていた。
りんご、桃、バナナ、オレンジ、グレープフルーツ。すべて土魔法を使うチャーミーに育ててもらった果物だ。パティは一文無しなのでお金を稼がなければならないのだ。
城下町の大通りの店は決まった店しか出店できないが、大通りから一本横に入った通りは、自由市場になっていて、パティのような旅人が自由に商売して良い事になっているのだ。
パティの他にも布をしいて衣類や雑貨を販売している者が所狭しといた。パティは小さなナイフでりんごを食べやすく切ると、道ゆく人たちに試食してもらった。
「こりゃあ、甘い!こっちの桃はどうかね?」
「はい!ぜひ味見していってください」
パティの前に並ぶ果物は、チャーミーが作ってくれた果物だから、元手はただだ。パティは果物の値段を周りの果物屋よりも安くしている。こんな売り方をして、他の果物屋には申し訳ないが、手っ取り早くお金を手に入れたかった。
パティの販売した果物はうわさを呼び飛ぶように売れた。パティの手元にいくばくかのお金が手に入った。
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