ジョナサンの思い2

 ジョナサンは養い子のパティをとても心配した。だがある覚悟を決めた。授かる魔法は、パティにゆだねようと。


 パティは養父のジョナサンからみても、とても心の綺麗な優しい少女だ。パティならきっと正しい魔法を授かる事ができるだろう。


 魔法を授かって帰って来たパティは一人ではなかった。仔犬に仔猫、小鳥にコガメを連れていた。パティは目をキラキラさせて言った。


「神父さま!私に友達ができたの!」


 ジョナサンは心の中で後悔していた。やはりパティには治癒魔法を選ばせるべきだったと。


 仔犬たちはパティにべったりで、どこに行く時もパティの後ろをついて行った。パティは彼らをとても可愛がり、幸せそうだった。


 ある時事件が起きた。パティのただならない声に、ジョナサンがドアを開けると、なんとパティは背中に大火傷を負って帰って来た。


 ジョナサンはいち早くパティの治癒を行いたかったが、パティはかたくなにマックスとチャーミーの治癒を優先してくれとうったえた。


 ジョナサンは仕方なく犬と猫を先に治癒させた。パティは安心したのだろう気を失ってしまった。ジョナサンはすぐさまパティに治癒魔法を施した。


 パティは背中の大部分を大火傷している。そして学校から教会まで、痛みをこらえて帰って来たのだろう。


 火傷の傷口を治癒させる事はできる。問題はパティが感染症にかからないかだ。通常人間の肌は、菌から身を守るための防御壁になる。だが火傷をしてしまうと、菌に対して無防備になってしまうのだ。


 自然界にはたくさんの菌が浮遊している。パティは大火傷をしながら長い道のりを歩いて来たのだ。もし菌に感染し、感染症を起こせば命にかかわる。


 ジョナサンは我知らず、泣きながら治癒魔法を行っていた。


「ああ、神さま。あなたは何故こんなにもパティにひどい仕打ちをなさるのですか?パティは捨て子で、村人には忌子と煙たがられ、それでも優しさと明るさを失わないこの子に、まだ苦難を与えるのですか」


 ひたすら治癒魔法をするジョナサンを、パティの友たちはジッと見つめていた。


 ようやくパティの背中の傷口がふさがった。だがパティは目を覚まさなかった。パティはその日から高熱を出した。


 無理もないだろう。パティは大火傷をするような炎に身を焼かれたのだから。


 ジョナサンはパティの小さなおでこに水で濡らして絞った布を置いた。すぐに温かくなってしまうため、ジョナサンはつきっきりでパティの看病をした。


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る