ジョナサンの信念2
「パティ、皆。出て来なさい」
ジョナサンは優しい声でパティたちに声をかけた。パティは台所から飛び出してジョナサンに抱きついて言った。
「神父さま!ごめんなさい。私たちのせいで、神父さままで村から追い出されてしまいます」
「大丈夫だ、パティ。困った事になるのはマフサ親子の方だよ。マフサは魔法を手に入れて、村で暴れ放題なんだ。村の畑を燃やし、チコリばあさんの薬草畑を燃やし。村人はマフサにとても怒っている。マフサたち親子が何か言っても誰も聞いてはくれない。パティ、後で見舞いがてらチコリばあさんの家に行ってみてくれ。チコリばあさんがマフサたちに何と言ったか聞いてみたい」
ジョナサンはいたずらっぽく笑って言うが、パティは不安でたまらなかった。ジョナサンはパティの気持ちを察したのか話題を変えた。
「パティ。私にマックスたちの魔法の話しを詳しくしておくれ?」
「は、はい!マックスとピンキーだけじゃないの!チャーミーとアクアも魔法が使えるんだって。神父さま、こっちに来て?」
パティはジョナサンの手を引いて、台所にある水がめの前に立った。ポケットからアクアを優しく出すと、アクアにお願いと言った。
アクアはつぶらな瞳でパティを見上げると、プクプクと言った。次の瞬間、水がめが輝くと、水の量が少なかった水がめに、並々と水が入っていた。
「アクア!ありがとう!」
パティは手のひらに乗っているアクアにお礼を言った。アクアも嬉しそうだ。
「これは、すごい」
ジョナサンは驚きの声をあげた。パティは笑顔で言った。
「神父さま。それだけではないんです」
パティはジョナサンの手を取ると、今度は外に出て、教会の裏手にある粗末な畑に向かった。
この畑は、ジョナサンとパティが一生懸命育てた畑だったが、小さなじゃがいもと細いにんじんしかできなかった。パティはチャーミーにお願いした。
「チャーミー。お願い」
「ニャー」
チャーミーは返事をすると、前脚で畑をちょこんとつついた。すると畑が輝き出し、たくさんの植物の芽が飛び出した。その芽はグングン大きくなり、立派なトマト、とうもろこし、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、かぼちゃになった。
「キャァ!すごいチャーミー!ありがとう」
パティとジョナサンは手分けして畑にできた作物を収穫した。
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