友達の魔法2
マックスたちはパティの前からどいてくれなかった。目の前のマフサは両手から炎を出している。パティは無理矢理にマックスたちの前に飛び出そうとした。
「ピィッ!」
その時ピンキーが鋭い鳴き声をあげた。すると不思議な事に、パティたちの目の前に透明な壁が出現した。マフサの投げた炎は透明な壁によって防がれた。
「えっ?これ、ピンキーがやってくれたの?」
驚くパティの肩に止まったピンキーは得意そうにピピと鳴いた。
ピンキーは魔法を使ったのだ。おそらく風防御魔法を。マフサは自分の攻撃魔法が防がれた事に激怒して、さらに火魔法をパティたちに投げようとした。
マックスは素早い動きでパティたちの前に出ると、ガウッと鋭く吠えた。
驚いた事にマックスの鳴き声と共に火魔法が出現した。火魔法は矢のようにマフサめがけて飛んで行き、炎をパティたちに投げつけようとしていたマフサの腕に直撃した。
「ギャアッ!痛い!痛い!」
マフサは自身の焼けた腕を見て、大声で叫び出した。パティがした火傷の十分の一にも満たない火傷で。
パティはマフサの事も忘れて、ほうけたようにマックスに聞いた。
「マックス。あなたが火魔法で私たちを助けてくれたの?」
「ワン!」
パティは目の前で起きた事が信じられなかった。モモイロインコのピンキーは風防御魔法を使い、シェパードのマックスは火魔法を使ったのだ。マックスは綺麗な茶色の瞳でパティを見つめてから、ムクムクと身体が大きくなった。
パティはあんぐりと口を開けてマックスを見上げた。マックスは馬ほどの大きさになって、伏せをした。
「えっ?マックス。私たちを乗っけてくれるの?」
「ワン!」
「ありがとう!マックス!」
パティは喜んで、チャーミーの背中に乗っているアクアを優しくポケットに入れると、チャーミーを抱き上げ、ピンキーを呼んだ。ピンキーがパティの肩に乗ると、パティは大きくなったマックスの背中に乗った。マックスはゆっくりと立ち上がると、パティの視界がぐんと高くなった。
マフサは火傷の痛みに耐えながら憎まれ口を聞いた。
「貴様ら、許さねぇ。必ず皆殺しにしてやる!」
マックスは振り返ってマフサをにらむと、ガウッと吠えた。すると先ほどよりも大きな火魔法が出現した。マフサを攻撃した火魔法は、とても手加減していたのだろう。
マックスはパティを振り向くと、落っこちないようにしっかりつかまっていて、と吠えてから教会に向かって走り出した。
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