友達の魔法
パティがいつものようにマックスたちを連れて学校の帰り道を歩いていると、パティたちの目の前に誰かが立ちふさがった。その人物はマフサだった。
「ふん、学校の外ならウルセェ教師もいねぇ。今度こそケモノども焼き殺してやるぜ」
「マフサ、どうしてマックスたちを殺そうとするの?」
パティはずっと疑問に思っていた事を質問した。マフサはさも当然といったていで答えた。
「パティ、忌子のお前が目障りだからだ。本来ならお前を殺してやりたい。だがそれはできない。代わりにお前の持ち物を殺すんだ」
「この子たちは物なんかじゃない。私の大切なお友達なの」
パティはずっとマフサが怖かった。理不尽で横暴なマフサが。だが今は恐怖よりも怒りの感情が強かった。パティは自分よりも大切な友達を守るために強くなったのだ。
「やれるものならやってみなさいよ!私はこの子たちを絶対に傷つけさせない!」
マックスはパティをかばうように前に出てうなり声をあげた。チャーミーはパティの側でシャーッといかくした。
ピンキーはパティの肩にとまり、アクアはパティのポケットからひょっこり顔を出している。
パティはマックスとチャーミーを後ろに下がらせようとした。マフサの炎は、この間よりも強くなっているだろう。パティはこの前よりもひどい火傷を負うかもしれない。しかしひるむわけにはいかないのだ。
パティはポケットから心配そうに自分を見上げているアクアに微笑んでから、ポケットから出し、毛を逆立てているチャーミーの背中に乗せた。
「さぁ皆、私の後ろに下がって」
だがマックスたちはかたくなにパティの側から離れない。パティの心の中に、彼らが命をかけてパティを守ろうとする気持ちが伝わってきた。
マックスたちの心に触れて、パティは目頭が熱くなり、涙が出そうになった。彼らもパティと同じ気持ちでいてくれるのが嬉しかった。
「ありがとう、皆。その気持ちだけで充分よ?私が一番身体が大きいの、火傷をしても助かる率が高いわ」
この間マフサに大火傷を負わされた時、ジョナサンが涙ながらに怒っていた。これ以上火傷の範囲が広ければ、お前は死ぬところだったのだぞ、と。
この場で一番身体が大きいのはシェパードのマックスだ。だがマフサの狙いはマックスたちを殺す事だ。パティが盾になった方が全員助かる確率が上がるのだ。
もしパティの火傷がひどすぎて教会までたどり着けなくても、モモイロインコのピンキーが飛んでジョナサンを呼んできてくれるだろう。
パティは腹づもりをして、もう一度マックスたちに言った。
「さぁ、皆。お願いよ?私の言う事を聞いてちょうだい」
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