パティの強さ

「神父さま、神父さま。マックスとチャーミーを助けて、」


 パティは最後の力をふりしぼって教会のドアをたたいた。ただならないパティの声に、ジョナサンが慌てて飛び出して来た。


「どうしたんだパティ!」


 神父のジョナサンはパティの背中を見て叫んだ。


「パティ!どうしたんだ!?この背中の火傷は?!」

「神父さま!私の事は後でかまいません。どうかマックスとチャーミーの火傷を先に治してください!」

「ああ、ああ。わかった、わかったから」


 ジョナサンはパティを落ち着かせるために何度もうなずくと、マックスの後ろ脚とチャーミーの尻尾に治癒魔法をほどこしてくれた。


「マックス、チャーミー。良かった」


 パティはマックスとチャーミーの無事を確認すると、意識を失った。


 次にパティが目を覚ますと、自分のベッドの中だった。全身が熱くて、頭が痛かった。


 パティは動かない身体を必死に動かそうとするが、指一本動かせなかった。マックスがしきりにパティの頬をなめ、チャーミーとピンキーが反対の頬にすり寄って来た。アクアはパティの胸の上によじ登って、つぶらな瞳で心配そうにパティを見ていた。


「皆、無事で、良かった」


 パティが微笑むと、マックスはベッドを飛び降りてキャンキャンと鳴いた。ドアがガチャリと開いて、心配そうなジョナサンが入って来た。


「ああ、パティ。良かった。もう三日も寝込んでいたんだぞ?気分はどうだ?」

「神父さま。ご迷惑をおかけしました。身体が動かないの」

「無理もない。お前は高熱を出しているんだ。さぁ、薄いスープを作ったから飲みなさい」


 ジョナサンはパティの背中に枕を入れてから、スプーンですくったスープを、パティの口に少しずつ入れてくれた。


 マックスたちはパティの事をじっと見つめていた。パティの身体が回復するまでに一週間かかった。


 パティの体調が戻って学校に行くと、マフサはパティにからんでこなくなった。どうやら学校の先生に怒られたようだ。


 パティは穏やかな学校生活を送る事ができた。


 パティの友だちはスクスク成長し、マックスは立派なシェパードに、チャーミーは美しいグレーの毛皮をまとったロシアンブルーに、ピンキーは翼が成長し、大空を自由に飛び回るモモイロインコに、アクアは少しだけ大きなチズガメになった。


 マックスたちはパティの側をかた時も離れず、パティが学校で授業を受けている時には、グランドで日なたぼっこをしていた。


 パティが授業を終えて学校から出て行くと、マックスたちは嬉しそうにパティに駆け寄って来た。


 


 

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