第4話

「わ、分かった!!するよ!!するからっ!!」






必死になって叫んだ落合さんを見て、俺は意地悪く笑いながら、スマホの画面を見せつけた。




スマホのロック画面を見た落合さんは、やられたと言わんばかりの顔をする。





「ほら、してくれるんでしょ、キス。」





そう言って俺は、落合さんがキスしやすいように、腰を屈めた。




近くで目が合って、思わずドキッとしてしまう。




自分からキスしろって言ったくせに、いざとなると緊張するなんて。







「・・・目、閉じてよ。しにくい。」





落合さんのキスする顔見たかったのに、と小さく心の中で呟いて、仕方なく目を閉じる。





ゆっくり落合さんの顔が近づいてくる気配を感じる。




ふわりとシャンプーの香りが鼻をくすぐって、ドキドキしてしまう。



ああ、やばいな。




落合さんって自分では女の子らしくないとか言うけど、普通に女の子だよな。




いつも良い匂いするし。




香水とかじゃなくて、多分このシャンプーの匂いだ。






女の子らしい匂いをいつもさせてる。






何かちょっとぼーっとする。




俺、落合さんの事好きだよ。




佐伯と上手くいってほしいなんて、嘘ばかりだ。






本当は、落合さんが欲しい。




俺のものにしたい。








ぼんやりとそんな事を考えていると、ぐいっとネクタイを引っ張られた。





軽く触れた落合さんの唇。








落合さんは俺にキスをした。

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