第27話
「・・・です。」
「・・・だよ。」
声が、重なる。
え?と思って思わずピアノを弾く手を止める。
私が弾くのをやめてしまったからか、瀬戸くんも鍵盤から手を離した。
再び静かになった音楽室で、驚いたようにお互いの顔を見合わせる。
瀬戸くん、今、なんて言った?
自分の声と、瀬戸くんの声が重なって、よく聞こえなかった。
「今何て、」
「あははっ!」
何て言ったの?と聞こうとしたら、突然笑い出した瀬戸くん。
訳が分からず、ただ呆然と瀬戸くんを見つめる。
「えっと、瀬戸くん?」
楽しそうに笑う瀬戸くんを、ひたすら不思議そうに見ていると、ゴメンゴメンと軽く謝りながら、ポンポンと頭を撫でられた。
その行動に、また私の胸が高鳴る。
さっき瀬戸くんは、他の人よりも耳が良いって言っていた。
だからきっと、私が何言ったか、聞こえたはず。
そう思うと、急に恥ずかしくなって俯いた。
私、瀬戸くんに言っちゃったよ。
隠してきたこの想いを。
瀬戸くんはどう思ったかな?
やっぱり迷惑だよね。
こんな私に、あんな事言われたら。
「やっぱり、牧野さんってやばいね。」
「・・・え?」
そんなに私の告白、やばかったの?
もはや、やばいという言葉の意味すら、よく分からなくなってきた。
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