第24話

「長野先生に当てられた時なんか、いつも困ってるよね。」



「だ、だって・・・。」






極力当てられたくなんかないのに、隣で瀬戸くんが寝てるから。



あ、本当は寝てないんだっけ?



寝てないとしても、机に突っ伏してたら、誰だって寝てると思っちゃうし。



その姿に、毎回長野先生は怒って瀬戸くんの方を見るから、自然と隣の私まで視界に入っちゃうんだよ。



だから、悪いのは瀬戸くんなのに。



けれど、授業中はいつも瀬戸くんを見ていて、まともに先生の話を聞いていない私も悪いんだよね。



少し落ち込みながら俯くと、ふわりと頭を撫でられた。




やっぱり、瀬戸くんの手は優しい。



なんだか、安心する。






「あんなやつと二人きりになるなんて、僕が許さないよ。」





少しだけトーンが下がった声で、そういう瀬戸くん。



あいつって、長野先生の事だよね?



また、よく分からない事を言っていると思って、俯いた顔を上げて、瀬戸くんを見つめる。





「ゆ、許さないって?」






聞き返すと、これ以上答えるつもりなんてないよと言わんばりに、にっこりと笑顔を見せた瀬戸くんに、何も言えなくなる。







「ほら、座って。」






そう言って瀬戸くんは、再び私を椅子に座らせた。



優しいけれど、何を考えているか分からない瀬戸くんの笑顔。




そんな笑顔でも、やっぱり好きだなと思ってしまう私は、変なのかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る