第22話
するりと瀬戸くんの腕が、私の首に巻きつく。
背中全体に、瀬戸くんの体温を感じる。
「あ、あの、瀬戸くんっ。」
ドキドキしていることがバレないように、瀬戸くんに声をかけるけれど、全然離れてくれる気はないよう。
長野先生もそんな私と瀬戸くんを見て、少し気まずそうに視線をそらす。
「先生、いつまでそこにいるつもりですか?」
「あ、ああ。」
「そろそろ牧野さんと二人きりにしてくれませんか?じゃないと、」
「ひゃっ!」
後ろから瀬戸くんは、私の耳に軽くキスをした。
そのキスに驚いて、変な声が漏れる。
「体で、教えられないじゃないですか。」
瀬戸くんの低いその声に、ゆっくり後ずさりをする長野先生は、少し怯えたような顔をしている。
「ま、満点取るって自分で言ったんだから、絶対だぞ、瀬戸。二学期、楽しみにしてるからな!」
吐き捨てるように長野先生はそう言うと、走って音楽室から出て行ってしまった。
だから、満点なんて取れるわけないのに!!
どうしてくれるの、瀬戸くん!
「せ、瀬戸くん、もう、大丈夫だよね?は、離れて、」
「無理。」
「えっ・・・。」
む、無理って!
後ろからぎゅっと私を抱きしめたまま、離れない瀬戸くん。
何で私をそんなに優しく抱きしめてくれるの?
触れられたところが今も熱い。
体全体が、瀬戸くんの熱に包まれてるみたい。
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