第17話

「牧野さんはすぐに頭で覚えようとするから、覚えられないんだよ。」





さっきも同じ事言われたなぁと思う。



ピアノは何となく感覚的な所があるとは思うけれど、勉強はやっぱ頭で覚えるものじゃないのかな。



成績の悪い私がいくら考えたって、その答えは見つからないけれど。





「勉強も、体で覚えればいい。」






そう言われても、よく分からない。



勉強を体で覚えるだなんて、どうすればいいの?






「僕が、教えてあげるよ。勉強も。」



「・・・え?」






それは凄く嬉しい事なんだけど、何だろう。



瀬戸くんの綺麗な手が、すっと伸びて、私の髪に触れる。




さっきから、瀬戸くんが近くて。




そんな風に触れられたら、心臓がドキドキしすぎて壊れちゃいそう。






「えっと、せ、瀬戸くん?」





誤魔化すように瀬戸くんに話しかける。



優しく私の髪に触れて、頭を撫でる瀬戸くんに、戸惑いを隠せない。



何で瀬戸くんが、私の頭を撫でているのか。



この状況に、うまくついていく事ができない。






「あ、あの・・・、」



「ああ、ほんとやばいね。」



「え?」







私、この数分で、え?って何回も言ってる気がする。


それだけ瀬戸くんがよく分からない事を言うから。



今だって、何がやばいんだろう?




もしかして私、何か変なことしちゃったのかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る