第2話

それにしても、さっき告白した女の子は明らかに振られたというのに、「あたし、更に水野くんの事好きになった!」とか言って、諦める気配は全くなくて。




集まってきた他の女の子たちも、水野くんにメロメロ状態だ。




当の本人は廊下の先で友達と雑談しているのか、ニコニコと先ほどのスマイルで、周りの女の子たちの視線を浴びている。



なんだなかぁ。



確かに水野くんは、一般的にいえばカッコイイと思う。



サラサラの黒髪は綺麗に手入れされてて清潔感があるし、制服の真っ白なシャツも皺一つなくて完璧に着こなしている。







けれど、何だろう。



あの笑顔には、違和感を感じてしまう。




その違和感がなんなのか、はっきりとはわからない。






「優衣ってば、水野くんの事ずっと見てるけど、まさか惚れちゃった?」





ニヤリと意地悪く笑いながら、菜央ちゃんが言う。






「ち、違うよ!そんなんじゃないよ!」



「分かるよ。あんな爽やかスマイル見たら、惚れちゃうのも無理はないもんね!」



「もう、だから違うってば!」






必死に否定するけれど、菜央ちゃんは全く信じてくれる気配はない。



むっとしながら、再び廊下に目を向けると、もう水野くんはいなくなっていた。

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