第17話

「・・・ごめん、帰る。」






ぐいっと自分の体から神崎くんを引き剥がす。






「佐伯なんか、やめろよ。」



「神崎くんには、関係ない。」






私はそう言うと、ドアを開けて教室を飛び出した。






熱い。




身体全体が火に包まれたみたいに熱い。






教室を出ると廊下の冷たい風が頬に当たって、少し気持ちが良かった。




けれど、そんなもんじゃこの熱は下がらない。







バカみたいに波打つ心臓の音もうるさくて。






自分が自分じゃないみたいだった。








佐伯くんに触れられてもドキドキするし、熱くなるけれど、それとはまた違った感覚。




分かんない。



胸が苦しい。







神崎くんは何がしたいんだろう。






佐伯なんかやめろって何?







私が佐伯くんを好きでいても、神崎くんには何も迷惑かけないし。



関係ないのに。






だいたい、こんなに喋ったのだって初めてに近い。





今まで絡んだ事なかったくせに、いきなり何なのよ。







ほんと、さっさと帰るべきだった。




佐伯くんの席に座らなければ良かったよ。





きっと神崎くんは私をからかってるだけ。




他には何の意味もない。







私が佐伯くんの席に座っていたところを見つけて、面白がってるだけだ。




キスだって、からかってしろとか言ってきたに違いない。




抱きしめられたのも、頭を撫でられたのも、おでこにキスされたのも全部わざとで、神崎くんにとっては遊びなんだ。






ああもう、本当に最悪。





タイミング良く、スマホなんて忘れないでよね。



授業中もスマホ触るぐらい好きなら、常にちゃんと待ってなさいよ。







はぁ・・・。






月曜、学校行くの、本当に憂鬱だよ。

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